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(3) 漁協の事業経営として

1] 漁協の収益は、主にダイバー数の増減による。

2] 最近では、ダイビングスポットからの収入が、漁協経営に及ぼす影響が大きな地域も見られ、ダイビングスポットからの収入が、漁協の経常利益の半分以上となっているところもある。

3] こうしたことは、本来赤字決算となる漁協の収支が、ダイビングスポット経営により黒字となっている場合もある。

 

(4) 漁協組合員の収入

1] 漁協組合員の収入は、ダイビング案内業と民宿経営による。

2] ダイビング案内業は、漁業や遊漁案内業との兼業で行われている事が多い。

民宿業は多くの漁村で営まれているが、ダイバーの宿泊は収入の増大につながるだけでなく、宿泊時期の分散化にも役立っている。すなわち、従来では夏場の海水浴客と年末年始の忘年会、新年会などのシーズンに宿泊客が集中していたが、春から秋にかけて、場所によっては冬期間においても安定して宿泊客を確保できることが大きなメリットとなっている

 

(5) 事業実施に際しての検討指針

1] ダイビング事業の区分

漁業者側から見たスキューバーダイビングを、次のように区分してみた。

1) 密漁ダイバー

漁業者側のダイビングについての認識は、一般的に密漁に直結するものとして受け取られることが多い。確かに問題となっている密漁の多くは、潜水器をつけたダイバーによって行われることが多く、密漁は大きな社会問題となっている。しかしすでに密漁は、夜間に高速艇を用いて行われる組織的な犯罪が多く、なかには暴力団の資金源となっているものもある。このような密漁ダイビングに対しては、厳しく対処する必要があり、自主的監視を強化したり、行政、警察、海上保安庁との連けいを図って、その取締りを強化していく必要がある。しかしながら、このような密漁のプロとしてのダイバーは、数十万人存在するダイバーのうちの極一部である。

2) レジャーダイバー

大部分のダイバーは、レジャーを目的としたダイバーで、組織的かつ常習的に密漁を行うダイバーとは、当然区別して考える必要がある。また、レジャーダイビングを行う者を次の2つに区分される。

a ダイビングサービス利用型レジャーダイバー(一般レジャーダイバー)

地元のダイビングサービスの業者からボンベを借りて、ダイビング業者の管理下で指定された海域でダイビングを行う者である。ダイバーの大部分はこのような一般レジャーダイバーである。これらのダイバーはマナーも以前と比べてずいぶんと良くなってきており、近年は水産動植物の違法採捕を行う者はあまりみられないようになってきている。

b ダイビングサービス非利用型レジャーダイバー

マイボートにボンベを積み込んでダイビングにやってくるダイバー(マイボートダイバー)や自動車にボンベを積み込み海岸から無秩序に海に入るダイバーである。このようなアウトサイダー的ダイバーの数は少ないものの、地元での監視が困難で、中には水産動植物の採捕を目的としている者もみられ問題が多い。

 

 

 

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