問5・問6 体験漁業、海レクは、地域活性化に役立っているか。具体的にどのような点か。
漁協では、役立っているが47%、どちらともいえないが45%とほぼ拮抗していた。役立っていないとするものは13%であった。役立っているとするものだけを見ると、その内容は他産業にも経済効果が及んでいる(民宿、遊漁船などに雇用ほか)としたものが40%、漁業者の収益につながっているが25%、他に魚介類の消費が増えた。漁協事業の収益につながっているは同数(18%)であった。どちらかというと直接の収益というよりも間接的にこども達にプラスになればよい。漁業や地域を理解してもらえればというような一種のボランティア的に活動がなされているため、効果査定もそうした傾向が強かった。一方地元しか消費されなかった魚介類が普及しだした。若者が残るようになったという意見などはまさしく投資金額以上のものが見られた。
市町村の意見からは、役立っているが70%、どちらともいえないが28%、役立っていないが2%であった。役立っている内容は、地域に人が来ることで観光産業や地域経済に役立っている57%、漁業者の収益増が17%、魚介類の消費が増えた15%、漁協収益につながっているが9%であった。意見としては実質的な収益や就労の機会の増大の次に、地域や漁業、特産品のイメージアップにつながるという間接的なプラスという意見が多かった。
このようにほぼ同じようなイベント(共催が多い)にも拘らず評価が異なるのは、相互の立場の違いにある。漁協側は集客や売上げなどの直接的投資効果において判断しているものであり、市町村は行政という性格上、民間ができない部分をカバーするという間接的な効果を狙ったものである。そのため自ずとその判断基準や性格が異なってくる。
しかし、どちらともいえないという回答が意外と高い割合を示したことは、今後の課題であり、各種のイベントや海洋レクリエーションのあり方が、各地の体験や経験にのみ頼っているようで、今後はこうしたことに対して客観的な評価、企画ができるアドバイザーや専門家の育成が必要ではないだろうか。
問7 漁協、自治体の立場からブルーツーリズムについての意見
漁協側の積極的賛成は16%、賛成が9%で素直に賛成とするものは25%、条件付賛成が48%、また消極的反対が19%、積極的反対は9%であった。現場を抱えるだけに賛成の割合は73%、反対は28%となっている。しかし48%が条件付ということであるため、市町村ほど明確な意見ではない。なおその条件とは、漁業体験が魅力的事業であることは理解できていても、海難事故や養殖魚の窃盗、漁具破損など、これまでトラブルを身近にしているだけに、素直に受け入れがたく思うのは十分理解できることである。
その他には、トラブルの発生、経費倒れとなり収益があがらないなどの理由により反対とするもの、反対に漁協も時代のニーズを取り入れ、積極的に取り組んで行くべきだとする意見も多かった。
市町村側の積極的賛成は38%、条件付賛成が37%、賛成が15%、賛成側の意見が90%を占め、消極的反対が7%、積極的反対が2%であった。しかし記述カ所には単に導入すればよいというものではなく、賛成、反対の具体的意見が述べられている。なかで導入の過程までの話し合いの大切さやハード面での支援など興味深い意見もあった。