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15 漁村における港祭りなどのイベント

北海道から沖縄県まで270の地域から寄せられた。多くは産業祭の様子を示しており、なかで伝統芸能の披露や各種産業の紹介がされている。その状況も人気を博し増大傾向にあるものと減少気味とするもの、或いは漁協単独のものと観光協会などとの共催と様々であったが、いずれも関係者の工夫と努力がなければ実施できないことばかりである。

今後経済情勢が厳しいなかにあって、こうした事業は主催者側のメリットというよりも、参加者にとって安くて新鮮な特産品を買い求むことかでき、そのうえ多彩なイベントが組み込まれていることから歓迎され、大いに地域活性化に役立っているだけに、これが中止、休止されないことが望まれ、そのためには自治体や観光協会、地域企業を始めとする関係者の積極的な協力が求められていた。

なかに愛媛県三崎漁協では鳥羽一郎の御当地ソングを作成していた。同県弓削町では離島自然体験ツアー、海のシンポジウムを開催、福岡県二丈町では砂の彫刻コンテスト、佐賀県鹿島市では有明海の潟リンピツク、大分県国東町では水上相撲、宮崎県島浦町漁協では集魚灯による水中ライトアップなど楽しそうな活動が多数報告された。

 

16 その他

漁協が独自で海の日を記念して歌を制作した。いずれは自然リサイクル増殖漁業システムの実施などといつ例が報告されている。注目されている三重県くまの灘漁協の活動や温泉地の宿泊施設を利用した漁業体験など今後に期待したい内容であった。

 

問4 実施していない、あるいは実施できない理由について

漁協側からは「漁業中心でやっているので必要性がない」が一番多く、次に「漁業不振で余裕がない」、さらに「以前は実施したが、効果がなく中止している」「条件が合わない」とする意見が多い。漁業中心でやっているので、レジャー客は馴染まないという回答はよく理解できるが、漁業不振のためという回答の多さには、今日の漁業の現実を垣間見た感じがする。しかし条件があわない、もしくは中止・休止している、或いは条件があえば可能、検討中であるという回答のなかには、事業の体制整備や問題点などを検討、解決していけば、漁業不振の点を少しでもカバーできる要素もあるのではないかと思われた。

市町村からは、「漁業中心でやっているので必要性がない」「漁業が不振である」「特別に実施不可能な理由はないが、実施していない」などほぼ同数の割であった。また「以前は実施していたが、諸事情があり中止した」「前浜を埋め立てたため、実施していない」「条件が整えば可能、検討中」という意見がほぼ同じ程度見られた。しかし市町村からでは漁協や漁業者側の理解、協力が中々得られないだろう。前浜を埋め立てたため、海レクに向かなくなったという意見も寄せられた。

こうしてみると漁業が盛んなため積極的に反対するという回答よりも、漁業や漁協が衰退化し、新規事業を試みる力さえなくなっている。あるいは前浜を埋め立てたため漁業や自然海岸がなくなったという消極的な意見が多く見られたのは、これまでの海・浜の概念を否定されたような感じがしている。

また海を埋め立てたり、漁業を衰退化させている地域は、海レクにも適さないような状況になってしまっているようで、そのダメージは思った以上に大きな影響を与えているようである。

 

 

 

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