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最近のトピックスとしては、これまで一般客による採捕が禁止されてきたサケの釣りが北海道、東北で解禁されている地域があることである。また、釣り放題を主体とした「釣り堀」事業や「釣り筏」事業も近年盛んになっている。また、市町村では海釣り公園を設置している事例も見られる。あわせて親子向け釣り大会や女性向け、身障者向け釣り大会など主催者側の努力により多様化が図られている。

 

2 潮干狩り

今回のアンケートでは北海道など29地域から報告があったが、実際には数多くの地域で料金を取って、潮干狩り事業が行われている。また一部を除き、その利用者数は増加傾向にあり、主催者側は漁場条件さえ整っていれば、人件費や諸経費がかからずに、非常に多くの利用者が見込まれることから、積極的に進めている。その結果、漁協経営の改善に寄与するなど、漁業関係者に与える影響は大きくなっている事業といえる。

 

3 その他の漁業体験

≪漁業体験等≫

1] 観光地曳網については、網と少人数の協力者さえいれば手軽に実施でき、その後、バーベキューなどで遊べることから人気も高いメニューである。29地域から報告があったが、実際にはもっと一般的に行われており、遊漁、潮干狩りになどと同様に数多く行われていると考えられる漁業体験メニューである。

2] 観光定置網については、11地域から報告があった。そのうち富山湾のホタルイカの観光定置網は有名であるが、大型定置網は見学船を別仕立てして見学しているが、瀬戸内海や都市周辺の小型定置網の場合には、同じ船に乗り込んでいくケースが多い。また大型定置網の場合には、観光協会や市などから頼まれて行なっていることから、その収益性は比べられるものでないが、小型定置網の場合には近年の魚価低迷や漁獲減少分を十分カバーするケースもあった。

3] 簀立て・建て干し網については、8地域であった。これらは千葉県、三重県、愛媛県などで行われているが、数は少ない。なお、千葉県に関していえば、利用客の人気が高く、予約がすぐに一杯になると聞いている。また本漁業は漁場条件が限定されてくることから、以前に比べ埋め立てや漁獲減少により漁場適地が少なくなっているともいえよう。

4] その他として27地域から各々地域に合わせた多様なものが寄せられた。例えば、伝統漁法を主体とした各種漁船漁業(打瀬網漁業、源式流し網、タコ釣り、漁り火漁(アジ・カマス漁)、焚きや漁、ねこ網漁。観光タイ網、カニ籠漁体験ツアー、或いは魚(鮭)のつかみ取り、タコつかみとり、タコすかし体験、エビ流し網、カレイ網、イカ籠、固定刺し網、底曳網、白イカ釣りなどの自然体験漁業などが行なわれていた。またトビウオすくいは、今回のアンケートでは、宮崎県からの1事例のみが報告されたが、実際には静岡県の西伊豆にも事例がある。宮崎県の事例では、参加者は増加傾向にあるとのことであり、今後が注目される。

さらに加工場体験として干物つくりやいくらづくり、のり漉きなどが行なわれていたが、今後水産加工については需要の増加とともに、そのメニューの多様化が必要であろう。ただ衛生面での規制が厳しくなっている時だけに、そこの点での注意や合意が必要である。

 

 

 

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