第3項 実態アンケート調査のまとめと考察
アンケートの内容について
*回答は複数回答であるため、合計数字などは出ない。
問1 あなたの漁協、地域では“海”や“漁業”を活用したイベントやツアーを実施しているか。
実施している漁協が、226と回答のあった627漁協の36%を占めるにすぎず、反対にこれまで実施したことがない漁協は321と、回答のあった漁協の51%となっていた。
一方、市町村での実施状況については、実施している市町村が、361と回答のあった536市町村の67%を占めていた。これに対して、これまで実施したことはない市町村は130と回答のあった漁協の24%と少なく、漁協よりも市町村の方が海や漁業に関するイベントやツアーをより多く実施していることがわかる。これは、これらのイベントやツアーが漁業者の自主的活動としてよりも行政主導型として行われていることが多い。こうした原因の一つに漁業協同組合では経営規模が小さいために、理念というよりもどうしても投資金額も小さく、その上投資効果において判断せざるを得す、行政においてはそうした点がカバーされ、投資効果よりも理念を重視するという点で、漁協と行政の話し合いと協調により、相互がカバーし合いながら事業を進めることが大切であろう。
漁協からの回答を見ると、漁業が盛んで各種トラブルやマナーや風紀の乱れが見られるから必要がないは83。今後条件が整えば考えていくが12。その他が12で、漁協側の意見は大きく賛成か、反対かに分かれている。
なかで各種トラブルやマナー違反、風紀の乱れが見られることにより反対、地域の意見集約もできないという意見には、素直に納得ができると同時に、海に遊ぶ個人個人が少し注意をすれば解決できることであるだけに大変残念なことである。またイベントやツアーが収益や地域振興につながらないというなかには、これまでの漁業関係者の中に、こうした部門に対する専門家や指導性がないため、現場において暗中模索をしていることが、大きな原因と思われている。そこで今後は、地域内に法律や規則のみではなく、経営的なアドバイザーや事業をプロデュースできるような人が必要とされよう。
問2・問3 実施している事業内容
実施している内容をみてみると、1]反復して実施され、収益を目的とした事業として位置づけられると考えられるものと、2]年一回程度開催される収益性を追求しないイベント的なものの2つに大別する必要があると思われたのでそれぞれについて概説する。
I 反復して実施され、事業として位置づけられると考えられるもの
1 遊漁
今回のアンケートでは29の地域から報告があったが、実際には漁協組合員が遊漁案内をしている事例は全国各地で見られ、現在では漁業関係者の重要な収入源となっており、年令が若い漁業者ほど早めに遊漁に転換しているようである。