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4時37分、K丸船長は第三船の方位が明確に右方に変わり、また、I号は前路を左方に横切り衝突のおそれがあるまま接近する状況にあったが、I号が自船の右舷側を替わしたと思いI号に気付かず、I号を避航することなく左舷船首23度1.4浬に接近した第四船の船尾を替わして洲埼方面に向かおうと自動操舵により小角度の左舵を取り始めた。

その後、I号から発せられた汽笛にも気付かないまま徐々に左転しながら進行し、4時41分頃、K丸船長は、右舷正横後方至近に迫ったI号を認め、急いで左舵一杯にしようとしたが問に合わず、4時42分、剱埼灯台から137度5.2浬の地点においてI号と衝突した。

当時、天候は晴で風力3の南風が吹き視界は良好であった。

I号の経過

I号(船長以下15名で運航)は、コンテナ810個を積載し8月29日13時00分、香港港を発し京浜港東京区に向かった。

9月2日4時00分、I号は洲埼灯台から268度9.3浬の地点において、パイロットステーンョンに向けて一航行中(針路53度、機関全速)、I号航士が当直に就いた。

4時30分、左舷船首40度0.7浬に速力の遅い同航中の第三船と右舷前方に第四船の灯火を視認したころ、I号一航士から左舷船首14度4.7浬のところに針路が交差する南航船K丸の報告を受け同船の灯火を初認した。

4時33分、I号船長は第三船が自船の針路とやや交差した態勢で接近する状況であることを認め、針路を56度に転じたところ、左舷船首17度3.4浬にK丸の灯火を視認するようになり、同船が前路を右方に横切り衝突のおそれがある態勢となったが、そのうち自船の進路を替わすものと思い、その動静監視を十分に行わなかった。その後、自船の近距離のところを同航する第三船及び前路を左方に横切る態勢で接近する第四船に注意を払いながら17.3ノットの速力で続行した。

4時37分、I号船長は左舷船首17度1.9浬にK丸が引き続き衝突のおそれのある態勢で接近する状況であっが、第三船及び第四船に気を取られてK丸の動静監視を十分に行わなかったため、これに気付かず警告信号を行わないで続航した。

4時40分、I号船長は、左舷側に第三船を追い抜いたとき、左舷船首12度1,100mのところに接近中のK丸の灯火を視認した。このとき右舷前方には第四船が船首至近を左方に横切る態勢で北上していたため、右舵一杯を取ることができない状況であったものの、速やかに機関を停止し、さらに全速力後進にかけて行き脚を止めるなどの協力動作をとることなく、長音1回を2度吹鳴して右舵10度を取り、機関を半速力に減じ、第四船が前路を替わって間もなく、4時41分頃、K丸が左転中であることを知り衝突の危険を感じて急いで短音1回を吹鳴して右舵一杯、機関停止としたが間に合わずK丸と衝突した。

 

 

 

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