(2) 事例4(平成10年仙審第54号)【剱埼沖自主分離通航帯南側で発生した衝突】
貨物船K丸(499.95トン)、貨物船I号(11,964トン)
i) 原因
K丸の動静監視不十分により前路を左方に横切るI号の進路を避けなかったことにより発生したものであるが、I号においても動静監視不十分で、警告信号や衝突を避けるための協力動作をとらなかったことも衝突の一因とされている。
K丸の経過
K丸(船長以下3名で運航)は、平成9年9月2日1時35分、千葉県木更津港を発し岩手県釜石港に向かった。
K丸船長は自ら単独にて船橋当直に当たり、浦賀水道航路を南下し、3時53分、浦賀水道航路中央第I号灯浮標を左舷側500mに航過したところで、針路を190度、速力10ノット(機関全速)の自動操舵により航行した。
4時30分、K丸船長は右舷船首29度、4.7浬に1号の灯火を初認するとともに、更にその右方約4浬のところにI号の左前方を同航する第三船の灯火及び左舷船首12度3.8浬に北上する第四船の灯火をそれぞれ認めた。
4時33分、方位が変わらないまま3.4浬にI号の灯火を視認するようになり、I号が前路を左方に横切り、衝突のおそれのあることを知ったが、I号がそろそろ浦賀水道航路に向かう北上船の転針地点に達して左転するものと考え、また、自船が第四船の船尾を左舷側に替わして洲埼方面に向ければ、I号と互いに右舷を対して航過できるものと思い、その動静監視を十分に行うことなく、以後第四船を注視したまま続航した。