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9時38分、前方に同航船が4隻いたものの、いずれも自船より速力が速く、危険な関係になかったことから、船橋内の左舷後部にある海図台で、船尾を向いた姿勢で海図作業を始めた。

T丸一航士は、その後も時々前方を見るものの、右舷側のC号に対する動静監視を行わず、操舵室の窓や出入口は閉鎖した状態で、海図台に向かって作業を続けた。9時37分、右舷船首50度2.6浬に前路を左方に横切るC号を認め、その後、方位がほとんど変わらず接近したものの、これらのことに気付かずC号の進路を避けることなく続行した。

9時52分、T丸一航士はC号が1浬、小型漁船が正船首1浬付近にそれぞれ接近していることに依然気付かず、一旦作業を終えたものの、さらに海図に向かって作業を続け、9時58分頃、C号の吹鳴する汽笛にも小型漁船の間を航過していることにも気付かず、原針路、原速力のまま進行し衝突した。

 

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図3.6 衝突状況図

 

 

 

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