最後に大会そのものとは別のことを付記することを許していただきたいと思います。私達が日本から二〇時間以上かけて訪れた南アフリカはジャカランダの花が美しく咲き乱れる季節でありました。しかし、そこによ厳しい現実がありました。私がもっともショックを受けたのは、やはり、蔓延するHIV(エイズ)の恐怖でした。南アフリカに向かう途上で入手した一〇月二七日付けの現地紙ザ・スターは、マンデラ、ムベキ両大統領のスポークスマンとして活躍したパークス・マンカラナが、前日、三六才で亡くなったことを大きく報じていました。その後も連日、この将来を嘱望されたマンカラナの死が新聞で取り上げられました。その死がエイズによるもののようであるということでより大きく取り上げられたのですが、このようにして、次代を支える人材が次々にエイズで亡くなっているというのです。国連の推計では、南アフリカでは、人口の一割、国として世界最多の四二〇万人がエイズに感染しているということですが、(一五才から四九才までの成人の感染率は何んと一九・九パーセント)、エイズであることを隠したり、知らない場合も多く、本当のことは分かりません。私は、地元ダーバンの人から、エイズのため、今後一〇年間で、南アフリカの四〇〇〇万人の人口が半分になるおそれがあるとナタール大学の学者が言っていると聞きました。事態は深刻です。私達が南アフリカの地を離れた一一月三日の新聞は、南アフリカにおける一〇月の新車販売台数の統計を載せていましたが、トヨタが断トツの一位でした。日本と南アフリ力は、このような面でもつながっているのです。自分自身はいつまた行くことがあるか分からないアフリカですが、決して遠いと思ってはいけない、頭の隅に追いやってはいけないとあらためて考えさせられたことでした。
ダーバン大会における各国のスピーチ等の全文は、行政相談課及び全相協に保管されています。