参加国等
現在のIOIの会員は過去四年間で倍増し、一〇七か国に及んでいますが、エルウッド会長の総括文書によるとダーバン大会には八四か国からの参加がありました。この参加率の高さは特筆すべきものということです。ヨーロッパ、南北アメリカ、アジア、オセアニア、アフリカとあらゆる大陸・地域から参加し、参加者数の最終的な集計は大会中には発表されませんでしたが、三五〇〜四〇〇人に達したものと思われます。
○会議一日目
まず、南アフリカのパブリック・プロテクターのセルビィ・バクワのリードのもと、ホスト国南アフリカのムベキ大統領の基調演説をメインとする開会式が行われました。ムベキ大統領は、世界銀行の「変化する世界の中における国家」と題するレポートやジョージ・ソロスの「グローバル・キャピタリズムの危機」などからも引用しつつ話を進め、アフリカの再生は、民主主義、透明性、アカウンタビリティ、優れたガバナンス、人権の原則が遵守されてこそ成功しうるものであり、パブリック・プロテクターはアフリカのルネサンスのために重要な役割を担うものと確信すると強調しました。愛嬌も持ち合わせた人でした。
開会式に続いて午前中に、「オンブズマン制度の完全無欠性と独立性」、「アフリカにおけるオンブズマン概念の発展と将来」の二つのセッションが持たれました。前者の司会はエルウッド会長が務め、スピーカーは名古屋フォーラムで来日したこともあるオランダのオースチン氏で、オンブズマン的機能を有する各国の制度を比較し、その機能や位置づけ等について論じました。午後は、「社会的、政治的環境のインパクトとそのオンブズマンの活動に及ぼす影響」、「政府の行政行為の監視についてのオンブズマンの有効性」の二つのワークショップが持たれました。前者の司会はフランスのスタシ氏が務め、パネリストはナミビア、ホンデュラス、香港(アリス・タイ女史)から、そして、後者の司会はアジアオンブズマン協会会長であるパキスタンのジェハンギリ氏が務め、パネリストはヨーロッパ・オンブズマン、カナダ(福岡フォーラムで講演したケベックのジャコビー氏)、イギリスからの参加者でした。
○会議二日目
午前中は、ます「市民の権利の目的追求のための人権の視点の拡大」と題するセッションが持たれ、ペルーのノリエガ氏の司会のもと国連の人権高等弁務官特別顧問のスピーチがあり、続いて、「移行期の民主主義―避けられぬ挑戦―汚職、メディアの自由、情報へのアクセス」、「対立的アプローチから非対立的アプローチへオンブズマンの今日的アプローチ」の二つのワークショップが持たれました。前者の司会はカナダのラック氏が務め、パネリストはスロベニア、スペイン等から、そして、後者の司会はセネガルのシィ氏が務め、パネリストはイギリス、ノルウェー、アメリカからの参加者で、各々の国の状況、オンブズマン制度の歴史や経験とも関連し、興味深いものでした。午後は、「政府と国民の関係―国民は政府に何を期待し、オンブズマンに何を期待するか」と題するワークショップが持たれ、オーストラリアのマクレオード氏の司会のもと私とアルゼンチン、南アフリカからの参加者がパネリストとなりました。