福岡フォーラムの初日には、カナダから参加された国際オンブズマン協会事務局長のダニエル・ジャコビー氏の基調講演と六人のパネリストによるパネルディスカッションが行われました。
ジャコビー氏の講演では、オンブズマン活動にとって、三つの特性に触れられ、
・積極的に主導権か発揮できること(proactive)
・オンブズマンの独立性が維持できること(independent)
・またオンブズマンが利用者にとって近づき易い立場にあること(accessible)
を強調されたことは、行政相談委員にとって触発される内容でした。
二日目には「外国招聘者と行政相談委員との意見交換会」がジャコビー氏と九州広相協の坂本毅平会長および私を含む福岡県内の行政相談委員八名とで行われました。
堀江正弘総務庁長官官房審議官から「この意見交換会は行政相談委員の人柄、活動内容についてジャコビー氏に強い印象を与え、同氏は皆様と思いを共有して満足して帰国されました。今回のフォーラムは、大変有意義で大成功であった」旨のうれしい感想か寄せられました。
全相協の鎌田理次郎会長が意見交換会の終わりに言われた「どんな立派な組織や制度、法律を作っても行き着くところは、それを動かす人間であると言うことが最も大事なことである」と言われたことが、行政相談委員としての責任を感じさせる言葉として心に残りました。
今回の会議の成功は管区局の職員の方々の目に見えない努力と支えのお陰であり、心から感謝の意を表したいと存じます。
福岡フォーラムに参加して
岡田修身
福岡県八女市総務課長
第五回福岡フォーラムに参加する機会を得ましたのは、当八女市長が六人のパネリストの一人として出席することとなり、行政相談委員の所管課として同行することになったためです。フォーラムが開催されるアクロス福岡の広い会場の四・五階はほほ満席であり、参加者のパネルディスカッションに対する関心の高さと期待感の大きさを肌で感じました。
ます、本フォーラムでの基調講演でカナダのケベック州のオンブズマン、ダニエル・ジャコビー氏は、オンブズマン制度の発展と役割について、国民の代弁者、公共機関の監視・国民からの苦情救済のための調査と公共機関に対する是正等の側面から具体的事例をあげながら説明され、また、日々の活動について熱心に語られました。特に、カナダのオンブズマン制度は非常に権威・権限ある組織であることか理解でき、実り多き研修となりました。
続いて、パネルディスカッションでは、大学教授・弁護士・市長等の有識者六人のパネラーが、それぞれの立場からの意見を熱意を込めて述べられました。特に当八女市長は、福祉オンブズマン制度導入について、当市議会へ条例案を提出したものの否決された現実の厳しさをも含めて、その経緯を報告しました。そして、結びとして、開かれた行政とその透明性及び行政の説明責任の重要性を強調しつつ、その為にも中立的立場で弱者である市民の苦情救済を図る第三者機関として、オンブズマン制度を設置することが不可欠であり、今後も制度確立に向けて取り組むことを表明し、参加者から盛んな激励の拍手を頂きました。この参加者からの制度確立への強い期待の込められた拍手を頂いて、私は、市政オンブズマン制度が、市政の一層の改善や職員の意識改革、そして市民に信頼される行政の推進を図っていくものであることを、改めて痛感致しました。