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そして、以上の二つ、すなわち政策についての評価の機能とこれまでの行政監察に当たる機能とをあわせて、「行政の評価及び監視」(行政評価等)と呼ぶことになったのです。

もちろん、行政相談の機能はこれまでどおりであり、行政相談委員の皆様の活動をはじめ、行政評価局(管区行政評価局、行政評価事務所等)とそれぞれに置かれる行政苦青救済推進会議等を一体のものとして任務を遂行することとなっています。

 

行政評価局の目指すもの

このようにして誕生した行政評価局は、その機能の総合的発揮を通じて、国民本位で質の高い、そして信頼される行政の実現を図っていく責務を二十一世紀に対して負っております。その役割は、活動のすべてが国民の行政への信頼の確保に結びつくだけに、極めて重大です。

このため、行政評価局は、まず、政策の評価については、これまでの行政監察において政策や制度の見直しに及ぶ勧告を行ってきた成果と経験を生かしながら、与えられた任務に精力的に取り組んでまいります。具体的には、社会経済情勢が変化する中で政策の目的は今も妥当するのか、その必要性につき説得力ある説明ができるのか、期待される効果は生じているのかなどの問題に鋭く切り込んでいく必要があると考えております。また、各府省の行う政策評価については、その手続きの厳格性、評価基準や測定・分析の適切性などを厳しく問い、間違っても「手前味噌」などと言われない客観的なものになるよう見守り、必要があれば再度評価を行うことを求め、あるいは代わって評価を行います。そして、これらのことにより、政策の見直しや改善に貢献してまいりたいと考えます。

政策についての評価を除く行政の評価及び監視(これまでの行政監察)については、昨年勧告を行った食品の安全・衛生、税務、警察庁の不祥事案対策など、緊急性も高く、国民の関心も強い問題に引き続き機動的に取り組むとともに、業務運営の簡素効率化やむだ減らしなどが求められる分野に幅広くメスを入れ、国民のご期待に応えて行きたいと考えております。

加えて、行政相談のしくみは、国民の立場に立った施策の実施その他行政及び公務員の対応の改善向上と行政への信頼の確保に大きな役割を果たしております。その重要性は、今後、国民本位の行政が志向される中で、ますます高まっていくものであり、行政相談委員の皆様のご意見も伺いながら、またご一緒に、制度の周知や利用拡大、関係機関・各種委員等との連携の拡大強化、案件の一層的確な処理などの課題に引き続き取り組み、このかけがえのないしくみの充実を着実に図ってまいりたいと考えます。

 

おわりに

行政評価局が以上のような任務を達成していく道のりは、必ずしも容易なものではないかも知れません。全職員が、行政監察局五十年の伝統を踏まえ、各府省を超えた全政府レベルの公正な姿勢と視点を保ち続けることが、組織の名称は変わっても肝要であると考えております。と同時に、国民の求めるものに対する感度のよいアンテナを組織として常時張りめぐらすことも欠かせません。この点でも行政相談業務の意義はますます大きいものがあり、特に行政相談委員の皆様が、国民の立場に立ったものさしやものの考え方を、四条意見の提出など色々な機会を通じて行政評価局とその職員に対しこれまで以上にお示しいただくことを是非お願い申し上げたいと思います。

総務省そして行政評価局の発足に当たり、行政相談委員の皆様に従来に増してのお力添えとご鞭撻を切にお願い申し上げる次第であります。

 

 

 

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