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総務省発足に当たって

 

総務省行政評価局長 塚本壽雄

 

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中央省庁等改革の意義

平成十三年一月六日、一府二十二省庁を一府十二省に再編することを中心とする中央省庁等改革が実施され、総務庁は自治省、郵政省とともに総務省を形成することとなりました。今回の改革は、戦後、新憲法の下で我が国が新たな出発を図った時期に行われて以来のものであり、日本の行政システムを戦後型から二十一世紀型に変える意義を持つものです。

日本の行政は、一九九〇年代のいわゆる「失われた十年」と言われる時期に、社会経済が国の内外にわたって大きく変化している中で、政策やその運営において本来求められるところから遊離し、また、いわゆる不祥事の続発などもあって、全体として大きな批判を浴び、国民の信頼を失う状況に至りました。今回の改革は、そのような状況を厳しく受け止め、行政と公務員に、総合性・戦略性の確保、機動生の重視、透明性の確保、効率性の追求等、世紀末の行政が欠いていた指導理念を注入し、真に「国民本位」の行政を行うことのできる組織とその運営のシステムを作ることをねらいとしています。

 

総務省の設置と行政評価局

この中で総務省は内閣及び内閣総理大臣の補佐・支援体制の強化の一環として位置付けられるとともに、行政の基本的な制度の管理運営、地方自治制度の管理運営、電気通信・放送行政及び郵政事業などを任務とする省として設置されました。そして、総務庁の行政監察の機能を引き継ぎ、行政監察局を、府省の枠を超えた政策評価機能を含め行政評価・監視機能を担う部局として改組し、行政評価局に改称することとされました。

行政評価局は、「行政の評価と監視を行う局」を意味します。この名称は、今回の中央省庁等改革において、政府に新たに「政策評価制度」が導入されることとなったことに大いに関連があります。

政策評価とは、各府省が自らの政策について、その目的、必要性、効果などを点検し、その結果を公表するとともに、政策の修正・廃止など必要な見直しを行うしくみと理解していただくとよいと思います。政策評価は、諸外国でも導入されており、日本では地方自治体が国にさきがけて取り組んできました。

行政評価局は、政策評価制度の導入に当たり、行政監察局の名の下で戦後五十年以上にわたって発揮してきた力と実績を活かして、各府省の政策評価が厳格かつ客観的に実施されることを担保するための評価や、各府省が個別に行うのでは全体的な評価にならない、例えば複数の府省が関わる政策の総合的推進にかかわる評価を行う役割を与えられました。これが「府省の枠を超えた」評価です。また、全政府的な政策評価制度の方向付けなどにも責任を負うこととされました。

同時に、行政の適正かつ効率的な実施等を今後とも実現するため、今までの行政監察の方法により、各府省の業務の実施状況を調査し、改善を引き続き推進することとされ、新たに認可法人の調査も行えるようにするなど調査対象の拡充が行われました。

 

 

 

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