IV. 介護保険に関する苦情・相談等の状況
介護保険制度の導入が公表されると多くの不安や批判が出され、施行されると当初から多くの問題が出された。
第1は、被保険者の保険料の高額化と自治体間格差の問題である。1号被保険者の保険料は、世帯単位ではなく個人に賦課される。1号被保険者の保険料額は、市町村で見込まれる給付費総額(3年平均)と当該市町村の65歳以上人口(3年平均)などで決定される。このため在宅福祉サービスを充実させている自治体よりも、介護報酬の単価が高い施設を多く持ち施設介護を中心としている自治体は、給付費総額が概して高くなり、被保険者の保険料が高くなることになる。
後者の問題は、人口数の少ない過疎地域においては、高齢者比率が高くなって保険料が割高になる傾向がある。厚生労働省が昨年12月に公表した1号被保険料が最も高かったのは、北海道南幌町の月額4,100円で、逆に最も低かったのは茨城県大子町の1,533円であった。大子町が低かった理由は、施設が少ないうえ、在宅サービスを利用する人の見込みが当初の半分程度になったため大幅に減額された(朝日新聞 平成12年4月20日)とのことである。
第2には、1割負担による利用の抑制である。いままで無料もしくは少額でサービスを受けてきた低所得者ほど、1割負担が重荷となって利用を抑制される恐れがある。今回の調査においても、「年金暮らしの老夫妻が、介護サービスの利用料が増えたために、週1回の訪問看護をやめた」、「息子は30年勤めた会社を辞めさせられ1年がたつ。収入も少なく、現に利用しているデイケア等の利用料も4月以前に比べると利用料の負担が増した。」というものなど数多くの批判や意見が出ている。
また、施設福祉の利用者負担額についても、今までは、所得に応じた負担額で0〜24万円となっていた。しかし、1割負担となると、所得の差に関係なく食費を含めた月額負担は5万円弱程となり、低所得者ほど大きな負担となり、中には退所せざるを得ない状況が生まれる。
第3は、要介護認定で「自立」「要支援」と判定された場合のサービスの打ち切りの問題である。「要介護と認定されたクラスのサービス給付では体が不自由で対応できなくなった。再度認定してほしい」とか「自分は要介護度2で、自分より状況の悪い妻が要介護度1となっているのは納得できない」などの不満が寄せられている。また、今までホームヘルプサービスを受け、掃除、洗濯、調理などをやってもらっていた高齢者の単身世帯が、自立と判断されれば、あらゆることを一人でやらなければならなくなくなったといっている。
こうした問題は、まだ介護保険制度の一角にすぎない。多くの課題が表面化することで、改善されたり、抜本的に改革されることになると考えられる。各地域や各分野でみられる問題をここで整理していくこととする。