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図III-(3) 清流苑オンブズマン制度における相談・苦情処理の流れ

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ウ. 苦情の概要と対応

清流苑では、オンブズマンの相談室を設け、特別養護老人ホームでは隔週水曜日の10時から11時45分、ケアハウスでは同じく隔週水曜日の13時から15時まで相談を実施している。また、この相談が、心理的プレッシャーを与えないように苑内各所に「オンブズマン制度により暮らしの何でも相談を」という通知が貼り出され、気軽に相談しやすい雰囲気もつくっている。

以下の表は、苦情及び相談の具体事例であるが、清流苑では苦情ならびに相談を処遇、家族、設備、その他に分け、オンブズマン制度発足以来結果を報告している。平成10年1月〜11年2月の13ヶ月間の苦情・相談件数は、特別養護老人ホームでは処遇が5件、家族関係が1件、設備が0件、その他63件の合計69件であり、ケアハウスでは処遇が3件、家族関係が1件、設備が2件、その他25件の合計31件であった。

清流苑の施設単独オンブズマンの特徴は、第一に第三者評価を明確に担保したい点で、施設自身の内部評価から一歩踏みだしている。第二に、施設内部にとどまらず、法人内部での審査、最後には行政機関による監督指導にも踏み出す制度としている点で、客観的に介護サービスの受給権を確保するものとなっている。施設オンブズマンの趣旨が利用者の利用権の擁護にあった点からすれば、苦情処理は行政と関連する部分も多く出てくるわけで、この点でオンブズマンが施設と行政との間のネットワークを形成することも充分に理由のあることである(大橋洋一、「福祉オンブズマンの制度設計とその寛容」自治研究第73巻第6号、79頁)とも指摘される。

 

 

 

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