III. 特別養護老人ホーム等における施設オンブズマン制度の導入
1. 施設オンブズマンの類型と特徴
一般的にオンブズマンは、公共オンブズマンと民間オンブズマンに大別することができるが、その中でも福祉オンブズマンは、公共オンブズマンの部門オンブズマンや施設型オンブズマンとして展開されてきた。ところが、近年、福祉施設で人権を踏みにじるような事件や不祥事が頻発したため、特に障害者福祉施設を中心に施設の監視機能を果たすオンブズマンが設置されてきている。
一方、厚生労働省でも、介護保険のサービスが適切な形で提供されているかをチェックする介護相談員派遣事業を、平成12年度は154の市区町村で実施している。この事業は、介護サービスを利用する高齢者の権利擁護や、事業者とのトラブルを未然に防ぐことがねらいで、相談員はサービス提供施設などを訪問し、利用者の話を聞いたうえで、問題点の解決を図るというものである。初年度はモデル事業としての施行期で、平成13年度以降全国的展開を図る予定となっている。
もともと介護相談員派遣事業は、丹羽雄哉大臣が「介護オンブズマン制度」として打ち出したものであるが、介護保険制度のもとでは国民健康保険連合会や市町村に苦情を処理する体制が整備されており、また独自にオンブズマン制度を運用しているところもあり、当初の介護オンブズマンとしての展開は縮小された形となった。