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この他に、介護保険に関する市民からの問い合わせが2件あったが、いずれも苦情申立てには至らなかった。

 

エ. 特色と課題

多摩市の福祉オンブズマン制度の最大の特色は、対象とする苦情に「民間福祉事業者等が行う健康福祉サービス」を含めていることである。条例は、この民間福祉事業者について「福祉オンブズマンの調査等に協力することを容認した健康福祉サービスを行う民間事業者等をいう」(条例第1条)としている。

多摩市では、この規定に基づいて、協力を容認した民間事業者等と別掲のような協定書を取り交わしている。さらに同市の介護福祉課の発行する「介護保険サービスの事業者名簿」のなかで、これらの協力を容認した業者が利用者にわかるように星印を付して提示している。この多摩市の方法は、事業者サービスヘの苦情処理についての市区町村の対応の範囲を大きく広げるものであり、注目すべきものであろう。

加えて、多摩市のオンブズマン制度では、苦情申立人を市民に限定せずに、市外在住者や法人など広範囲にわたってその資格を与えている。また、福祉オンブズマンにおいても、職務内容と独立性を尊重し、分野に限定されないより広い範囲の権限を与えている。これらは、即急な改善を求める制度利用者のニーズに十分配慮したもので、今後、多摩市が目指す「より開かれた行政運営」の基盤として大いに期待できる。しかしながら、多摩市の人口総数約14万人のうち、約2万人が60才以上の高齢者であり(平成11年4月1日現在)、さらに今後も増加が予測されること、また、多摩市が「何人も」本制度を利用できると設定したことを考慮すると、よりよい制度を提供するために、今後の相談件数を勘案しながら、福祉オンブズマン増員の検討が必要であろう。

 

〔別掲〕

協定書

東京都多摩市を甲、健康福祉サービス(以下「サービス」という。)を契約等に基づき提供する民間福祉事業者(以下「事業者」という。)を乙とし、甲と乙は多摩市福祉オンブズマン条例(以下「条例」という。)及び多摩市福祉オンブズマン条例施行規則(以下「規則」という。)等に基づき、以下のとおり協定を締結する。

(目的)

第1条 甲と乙は、サービスを利用する者(以下「利用者」という。)の該当サービスに対する苦情を迅速かつ公正に処理するため、多摩市福祉オンブズマン(以下「オンブズマン」という。)の調査に協力し、サービスの向上及び利用者と事業者の間の信頼関係を確立することを目的に、この協定を締結するものとする。

(調査に対する協力)

第2条 乙は、利用者のサービスに対する苦情に関して事実関係を確認するため、オンブズマンが行う直接サービスに係る担当者等からの聞き取り面談や書類確認等の調査(調査方法は、原則としてオンブズマンが訪問し、調査する。)に対して、迅速かつ誠実に協力するものとする。(是正等の措置報告)

 

 

 

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