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発足時には、小池妙子氏(大妻女子大学教授)、大山美智子氏(弁護士)の女性2人が委嘱された。

(ウ) 苦情申立ての要件

福祉オンブズマンに対しては、何人も、関係機関等の健康福祉サービスに自己の利害を有する者は、苦情を申し立てることができる(条例第12条)。この「何人」とは、多摩市民、市内法人及び市内在勤在学者だけでなく、多摩市及び民間福祉事業者の健康福祉サービスを受けた経験のある者であれば、多摩市外・国籍を有する者でも申し立てができることを示している。このように多摩市では、市内在住者、市外在住者、外国人、法人を問わず、広範囲に渡って苦情申立人の資格を認めている。

苦情の内容は、申立人自身の利害に関する事項に限られている。これは、自己の利害と全く関係のないものまで対象にしてしまうと苦情の内容が広範化することは避けられず、オンブズマンに過重な負担がかかることで「市民の権利利益の擁護」という本来の職務に支障をきたす可能性があることを危惧したためである。

苦情申立期間は、当該苦情に係る事実のあった日の翌日から起算して1年以内に行わなければならない。ただし、福祉オンブズマンが正当な理由があると認めるときは、この限りではない(条例第14条)。

(エ) 権限等

福祉オンブズマンが苦情申立てを受け、その内容についての調査を決定したときは、調査対象となる関係機関等に対し、その旨の通知を行い(条例第16条)、必要に応じては関係書類の閲覧や提出を要求したり、または実地調査等を行うことができる(条例第17条)。更に、専門的技術事項についての調査が必要なときは、専門機関に対し、調査、鑑定、分析等の依頼をすることができる(条例第17条3項)。これら苦情調査の結果、必要があると認めるときは、関係機関等に対し是正等の措置を講ずるよう勧告したり、制度の改善を求めるための意見表明をすることができる(条例第19条)。勧告または意見表明を受けた関係機関等は、これを尊重し(条例第20条)、福祉オンブズマンから是正等の措置につき報告を求められた場合には、当該報告を求められた日から60日以内に報告しなければならない(条例第21条)。そして福祉オンブズマンは、以上の結果を苦情申立人本人に対し通知するとともに(条例第18条、第21条3項)オンブズマンの指摘に対して関係機関がとった対応やその内容についても積極的に公表していくものとしている(条例第22条)。

このように多摩市では、福祉オンブズマンに対して、概ね、調査・意見表明・提言・勧告・助言・公表の6項目の権限を与えている。これは、制度の目的が苦情申立人の権利を擁護し、救済を行うことにあり、かつ、福祉オンブズマンが、調査権と勧告・意見表明権を持つことで、苦情を公平・中立的立場で調査し、簡易、迅速に解決を図るためである(図II1-(17)参照)。

 

 

 

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