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(7) 「福祉オンブズマン制度」の導入 ―多摩市―

ア. 制度導入の背景

多摩市は、「多摩市行財政改善計画」において、「より開かれた行政運営の推進」実現化に向け、「外部監査制度」や「オンブズマン制度」等の導入の検討を平成10年度より開始した。さらに、第四次総合計画基本構想(案)に「地方分権型の市民協働社会の創出」を掲げ、行政と市民との信頼関係の構築には、その前提となる市民に対する情報公開の拡充と行政のアカンタビリティー(責任説明)が課題となるとした。これらを受け、市民主権の理念に基づき、市民の市制に関する苦情等を簡易な手法で迅速に処理し、市制を監視し、非違に対し是正等の措置を講ずるよう勧告をするとともに、制度の改善を求めるための意見表明を行い、市民の権利や利益の保護を図り、開かれた市制の一層の進展と市制に対する市民の信頼の確保を行うことを目的に、オンブズマン制度の導入が具体化しためである。

福祉オンブズマン設置にあたっては、1]本来の福祉行政にかかわる問題に加え、生活保護に派生して生じる準要保護の問題、障害者・高齢者のバリアフリー、国民健康保険・年金といった、福祉部以外の所管にわたる問題についても、広く所掌範囲とすること、2]介護保険制度をはじめ、民間事業者による福祉サービスに対する市民の苦情にも対応する仕組みづくりをすること、3]福祉サービスを受けている立場の市民の感情に配慮し、特に福祉サービスを通じて利害関係を有する福祉部から一定の距離を保つため、物理的及び人的に独立性が確保できるようにすること等に十分留意し、分野に限定されない対応を行うことが提言された。

 

イ. 制度の概要

(ア) 目的および設置

「多摩市福祉オンブズマン条例(多摩市条例第39号)」(以下条例とする)は、平成12年10月1日から施行された。この制度は、行政および民間福祉事業者等が行う福祉保健サービスに関する苦情に迅速に対応し、市民の権利利益の保護と健康福祉サービスの公正な実施を図ることを目的に設置された(条例第1条)。

(イ) 地位及び組織

福祉オンブズマンは、市長の付属機関として位置付けられているが、実質的には、職務の遂行に関し、独立性が尊重されている(条例第6条)。この独立性を担保するため、委員の委嘱と解職(本人の申し出による辞職を除く)にあたっては、市長が市議会の同意を得ることを条件としている(条例第9条、10条)。福祉オンブズマンの定員は2人で、人格が高潔で社会的信望が厚く、健康及び福祉に関し優れた見識を有していることが選出の条件である(条例第9条)。委員の任期は3年とし、1期に限り再任を妨げない(同条2項)。ただし、任期については特例が設けられており、「この条例の規定により、最初に委嘱される福祉オンブズマンのうち、市長の指定する者1人の第1期の任期は、規定にかかわらず、これを2年とする」としている。これは、委員会の委員個々の在任期間を調整することで、同時期に複数の委員全員が交替することを避け、職務遂行上支障をきたすことなく、より一定の苦情の処理水準を継続するための配慮である。

 

 

 

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