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以下では、相談苦情処理の中核機関である「介護保険苦情・相談室」についてみていく。

 

(ア) 「介護保険苦情・相談室」

板橋区は、「介護保険苦情相談室運営要綱」を策定し、保健・福祉・介護サービス利用者からの苦情・相談事業を、平成11年10月から開始した。「介護保険苦情・相談室」は、区民が介護や支援を必要とするようになったとき、被保険者の権利(1割負担の消費者権利)として、自由に選択した質の高い介護保険の仕組みやサービスを安心して活用できるよう、介護保険サービスを利用する際の疑問や相談、苦情等を確実に受け止め、解決の道を探り、介護保険利用者としての区民の保護を図るとともに、広く介護サービス等全般の質の向上を図り、併せて区民に介護サービス等を選択して利用する権利を支援するため介護サービス等の十分な情報提供を行なうことを目的として設置された(要綱第1条)。

「介護保険苦情・相談室」は、「おとセン」内に設置(要綱第2条)されており、苦情相談員5名と事務局職員1名で構成されている。苦情相談員は、非常勤(一人当たり月6~12日、延べ48日)で、介護経験者、消費生活アドバイザーなどに委嘱している(平成12年度)。受付時間は、午前9時~午後5時(月~金)までで、訪問、電話、ファクスで相談ができる。なお、訪問相談も行なっている(要綱第6条)。相談は無料である(要綱第8条)。

また、介護保険苦情相談室運営要綱では、「介護保険苦情相談室」が、「介護保険法第23条(文書の提出等)」や「厚生省令第37号第36条(苦情処理)」などや、指定取消しの都道府県への通知権限(介護保険法第77条第2項)などに依拠して、必要な場合は調査、斡旋、助言などを行ない事業者に改善等を求めることも出来るとしている(要綱第7条)。

しかし、事業者との関係は、協力要請を通じ、ともにより良い介護保険制度の運営を目指すことを、基本的スタンスとするとしている。なお、相談や調査等には専門職員も対応するだけではなく、情報提供を含め、「おとしより保健福祉センター」の職員が全面的に関わるとされている。

次に、「介護保険苦情・相談室」は、主に、1]相談業務、2]介護関係サービス全般の質の向上を図る業務、3]情報提供業務を行なっている(要綱第3条)。

1] 相談業務

相談や苦情の相談には、前述した区の窓口だけではなく、介護支援専門員・サービス事業者も対応する責務がある。しかし、利用者は、ここでの対応に納得できなかったり、直接かかわっているところに相談しにくい場合がある。その場合、「介護保険苦情・相談室」が相談を受ける(場合によっては利用者宅の訪問もある)。苦情を受けた相談員は、利用者の代弁者機能を果たしながら、事業者等の間で斡旋調停等を行い、問題の解決の道を探る外、介護サービスの状況、不服審査機関等の情報の提供も行なう。

 

 

 

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