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区民からの相談・苦情に対する窓口には、「権利擁護センターあだち」以外にも、1]区の窓口〔介護保険係(介護保険制度に関すること)、資格賦課係(加入・脱退に関すること)、保険料係(保険料に関すること)、介護認定係(介護認定に関すること)、保険給付係(給付サービスに関すること)〕、2]区内23ヶ所に設置されている「在宅介護支援センター」、3]25名の民生委員からなる「苦情等解決協力員」がある。

「苦情等解決協力員」と「在宅介護支援センター」は、高齢者の介護・施設・福祉サービス利用者の最も身近なところで活動する公的存在であり、苦情や権利擁護等の問題を発見するアンテナとして機能することが期待されている。また、これらの窓口の内、相談・苦情の半数近くが「在宅介護支援センター」に寄せられている。そのため、「権利擁護センターあだち」では、年4回「在宅介護支援センター」の職員を対象に「介護サービス実態調査」を実施し、利用者がサービスを選択できる状況にあるのか、阻害する要因があればそれを把握するとともに、在宅介護支援センターの職員の体験を収集し、その結果を「高齢者福祉サービス苦情等解決委員会」に示し、必要に応じては、積極的に問題の解決を図っていくとしている。

このように、足立区の相談・苦情対応の仕組みは、「権利擁護センターあだち」に直接寄せられる相談・苦情と、上記の行政窓口、在宅介護支援センター、苦情等解決協力員を通じて寄せられる相談・苦情とを「権利擁護センターあだち」に一元的に集約し、それらの全件が「高齢者福祉サービス苦情等解決委員会」に報告され、必要に応じて同委員会が、区や事業者に対して、調査や是正勧告などを行なうというものである。

 

イ. 「足立あんしんネットワーク」による相談・支援活動

足立区は、上記の「相談・苦情対応の仕組み」を補完するものとして、次図にみられるような「足立あんしんネットワーク」を設置している(足立あんしんネットワーク事業実施要綱)。

「足立あんしんネットワーク」の設立目的は、地域の中で、一人暮らしの高齢者や高齢者世帯、高齢者の介護に携わる家族が抱える問題を早期にキャッチし、適切な対応をすることで高齢者が安心して暮らせるまちづくりを目指すことで、高齢者の保健・福祉・介護サービス全体の向上を図ることにある(同要綱第1条)。

「あんしんネットワーク」は、「専門相談協力員」「在宅介護支援センター」「あんしん協力機関」「あんしん協力員」から構成されている。「専門相談協力員」は、区長から委嘱された民生委員(苦情等解決協力員を含む)であり、1]担当地区の高齢者の実態把握、2]介護等に関する相談、3]高齢者の安否確認、4]区及び在宅介護支援センターとの連携、(同要綱第4条)。「在宅介護支援センター(区から委託され、高齢者に関する相談全般の窓口)」は、1]専門相談協力員との連携、2]あんしん協力機関及びあんしん協力員への助言、3]あんしん協力員への研修などの業務を行なう(同要綱第5条)。

 

 

 

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