さらに、高齢者福祉サービスの本質として複合的な問題も抱えている。例えば、症例としてのケアの必要性及び在宅介護としての介護者の必要性がケアプランの中に正確に反映されるかというニーズ反映の正確性の問題、介護事業者が十分にサービスニーズに応えられるかというサービス供給能力の問題、介護契約とサービス実態との乖離の問題など多岐にわたる問題が具体的には存在している。
また、こうした福祉サービスの実情を改善し、ならびに利用者の権利を擁護する立場の第三者制度が組み込まれていないと、利用者の声が届きにくい立場の高齢者や要介護高齢者へのサービスの質を高めていくことができにくい。まさに、近年先進的な自治体において福祉オンブズマンならびに福祉苦情処理委員会などを整備しつつあるのは、こうした福祉に関する本質的課題への対応である。
介護保険制度においては、介護サービス事業者や介護保険施設は、要介護者及び要支援者に対して適切なサービスを提供するとともに、利用者からの苦情に迅速かつ適切に対応するために必要な措置を講じることとされている。そのため、サービスに対する直接的な苦情は各サービス事業者が対応することが、基本的な原則となっている。しかし、地域によっては事業者自体が多くないため、利用者にとって選択の自由がないなど、苦情申立を抑制せざるを得ない場合も多い。また、こうした閉塞的な状況が恒常化すると人権を無視する事態すら招くことになりかねない。介護保険オンブズマンに先立って、障害者福祉施設等で施設オンブズマンや人権オンブズマンが導入されていったのは、こうした問題への対応である。介護保険という新制度の内実を高めていくためにも制度の欠陥や課題を解決していく苦情処理は欠かすことができないのである。
また、サービスを供給する立場からは、サービス受給者の立場や充足度がわからない場合も多い。社会化された介護サービス自体の質を高めていくためにも、苦情処理システムが、官僚化するのではなく、より一般に開かれた形のシステムヘと恒常的に改善していくことも必要となる。
(2) 苦情処理と処理フロー
サービス利用者が介護保険に関するサービスに問題や苦情を申し立てる場合は、サービス供給者としての指定居宅介護支援事業者などのサービス事業者に苦情を申し立てるなり、改善要望をする。その際、利用者からの苦情が理解不足や誤解の場合は、サービス事業者は資料提供など迅速な対応をしなければならない。また、その場での対応が困難な場合は、対応方針や回答時期等について説明し、後日対応する旨の了解を求めなければならない。