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市場原理の導入は、効率性や応答性の面では優れているが、「市場の失敗」でも論じられるように総合性や責任面での課題も多い。介護保険法によるサービスは、政策的に統制された擬似的市場を通して供給されるわけであるが、政府及び市場の両者の欠点を補完する仕組みが求められるのである。

4] 「相互扶助」

第1条に「国民の共同連帯の理念」に基づいて介護保険を創設することが示されており、社会保険の原理を用いた「公的な相互扶助システム」を整備し、社会連帯を強化することを目標としていることがわかる。また社会保険という相互扶助システムをまかなう財源を確保するために、第4条第2項では、「国民は、共同連帯の理念に基づき、介護保険事業に要する費用を公平に負担する」ことが明記されている。

5] 「地域主義」

第3条は、市町村及び特別区を介護保険の「保険者」として指定するとともに、都道府県に、介護保険事業の運営を健全かつ円滑に実施するための指導及び援助をおこなう役割を与えている。市町村及び特別区の役割が強化されていることには、介護保険制度によって、地域的公正を確保しつつ、地域住民の参加に支えられたコミュニティケアを実現する「地域主義」の理念を根づかせたいという期待が込められているものと理解される。

 

図I-(1) 旧制度と介護保険制度との関係

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