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さらに、女性の社会活動への参加ということについては、ケベック州のオンブズマン事務所でもご自身が就任された13年前には、女性スタッフは全体の約30パーセントであったが、現在は75パーセントにしたこと、また、最近、女性の副オンブズマンを1人採用するなど、女性の創造性に期待する分野は多いとの考えを示されました。

 

3 フォーラムの成果

この地域フォーラムを開催する趣旨について、私は開会挨拶の中で、二つのことを申し上げて参りました。その一つは、全国5,000人の行政相談委員の日頃の様々な活動の実態を、海外のオンブズマンをはじめ国、地方公共団体の各種相談に携わっておられる方々、学識経験者、民間有識者等、できる限り多くの方々に知っていただきたいこと、もう一つは、フォーラムにご参加いただいている方々と共に海外のオンブズマンの活動の現状や課題について、オンブズマン自身から直接お伺いすることが、わが国の行政苦情救済制度の今後の在り方を検討する上で有益であると考えられること、の2点であります。

この地域フォーラムの開催趣旨に照らし、過去5回の地域フォーラムを振り返ってみますと、1]各開催地におきまして、それぞれの地域で活躍されている行政相談委員の代表の方が、パネリストの一人としてパネルディスカッションに参加され、取り扱った事例を交えながら行政相談委員の日頃の活動の実態を紹介していただき、2]また、海外から招聘致しましたオンブズマンからは、世界のオンブズマンの動向や自国のオンブズマン制度及びその運用の実態について、ご自身の経験・知識を基に詳細にご説明をいただき、文書では知り得ない、あるいは知ることが困難な事柄について直接お伺いすることができました。

このため、フォーラム会場にお越しの方々はもとより、お越しいただけなかった方々にも新聞紙上等を通しまして、私が申し上げました開催の趣旨をご理解いただけたのではないかと思っております。その意味におきまして、5回にわたり開催致しましたフォーラムはいずれも所期の成果を挙げることができたものと考えているところであります。

 

次に、海外から招聘致しましたオンブズマンの基調講演、また、二日目の意見交換会におけるご発言を伺い、私の心に残っております事柄を2〜3ご紹介させていただきたいと思います。

まず最初に、第1回目の大阪フォーラムに招聘致しました、南オーストラリア州のビガノフスキー氏、次いでニュージーランドのエルウッド氏、香港のソウ氏、オランダのオースティン氏及びカナダのジャコビー氏の順にご紹介したいと思います。

 

(1) ビガノフスキー氏の発言

ビガノフスキー氏は、『世界のオンブズマンの動向と行政相談委員』と題する講演の中で、「市民がオンブズマンに対して特に重要な要件として強調するものは、アクセスが得られること、迅速・円滑な処理がなされること、信頼性があること、などである」とした上で、特に、アクセスの問題に関する具体例として次のとおり報告された。

ウィーンで開催された、第5回オンブズマン国際会議(1992年10月)において、私は初めて日本型のオンブズマンとして行政相談制度、行政相談委員制度について塚本壽雄氏から話を窺った。

 

 

 

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