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3] 招聘者と行政相談委員との意見交換

中部管区行政監察局において開催されましたオースティン氏との意見交換会には、8名の行政相談委員が出席されました。

意見交換会においては、主として制度のPRの問題について意見が交わされました。オースティン氏は、PRの方法について、「一般の方たちに制度を知っていただくという活動自体も必要であるが、大事なことは、必要なときに(苦情を申し出たいときに)こういう所へ行けばいい、というような心に残る情報を提供していくことではないか」ということを指摘されました。

また、出席者にとって特に、意義深かったことは、オランダにおける苦情救済制度についての質問に対し、オースティン氏から「オランダにおいては、オンブズマンのほかに、オンブズマンほどの権限は与えられていないが、市民のかかえている様々な問題の処理や市民に対する情報提供を行っている『アドバイス・ビューロー』という機関が全国的に設置されていて、専門知識を持ったボランティアが、いろいろな問題で困っている人たちを助けている」という事実を知らされたことではなかったかと思われます。このことは、前日の基調講演においては全く触れられなかった点であり、意見交換会における貴重な収穫であったと思います。

 

(5) 福岡フォーラム

福岡フォーラムは、平成11年11月14・15日の両日、福岡市の「アクロス福岡」において開催され、参加者は約300名でありました。

第1日目は、午後1時に開会し、カナダから招膀したダニエル・ジャコビー氏(ケベック州オンブズマン、国際オンブズマン協会事務局長)によります基調講演が行われ、休憩の後、西南学院大学法学部教授の川上宏二郎氏の司会によりまして各界の有識者によるパネルディスカッションが行われました。

第2日目は、午前10時から1日目と同じアクロス福岡において、ジャコビー氏と行政相談委員の代表とによる意見交換会が行われました。福岡フォーラムの概要は、以下のとおりであります。

 

1] ジャコビー氏の基調講演

ジャコビー氏は、オンブズマンの役割とオンブズマン制度の持つ有効性ということについて、お話しをされました。氏は、オンブズマンであれ、日本のような「オンブズマン的な制度」であれ、重視されなければいけないことは、「有効であるか」ということであり、もし、そうでないならば、それを求めていかなければならない、この有効性を達成するためには、1]プロアクティヴ(創造力豊かで主導権を取れる積極性)、2]アクセシブル(利用し易さ、近付き易さ)、3]インデペンデント(独立性)、という三つの要件を満たすことが必要である、旨主張されました。

そして、プロアクティヴであるためには、1]主導権を取るべきときを知らなければいけないので、体系的なアプローチをすること、2]事後に是正措置を勧告するのみでなく事前の予防的措置も提言すること、3]勧告は、具体的かつ実際的なものを出すこと、4]どのような基準に基づいて政府の行為を判断しているか、ということを公的機関に知らせること、5]勧告をする場合、それが十分に公平(文言上だけでなく、精神的にも)であること、6]勧告が、その後どのようにされたかをしっかり見ていくこと、等が必要である旨の指摘をされました。

 

 

 

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