日本財団 図書館


(4) 名古屋フォーラム

名古屋フォーラムは、平成11年11月9・10日の両日、名古屋市の「メルパルク名古屋」において開催され、参加者は約380名でありました。

第1日目は、午後1時に開会し、オランダから招聘したマーティン・オースティン氏によります基調講演が行われ、休憩の後、名古屋大学法学部教授の後房雄氏の司会によりまして各界の有識者によるパネルディスカッションが行われました。この地域フォーラムには従来、海外から二人のオンブズマンを招聘しておりましたが、今回はお一人ということになりましたので、より著名な方をお招きしようということで、昨年まで国際オンブズマン協会の会長をお務めになる等、海外において特に顕著な活動をされておりましたオースティン氏をお招き致しました。

第2日目は、午前10時から中部管区行政監察局長室において、オースティン氏と行政相談委員の代表とによる意見交換会が行われました。名古屋フォーラムの概要は、以下のとおりであります。

 

1] オースティン氏の基調講演

オースティン氏は、オンブズマン制度の主要な特徴、タイプ別分類、日本型オンブズマン、オランダの経験及び今後の課題についてお話しをされました。講演内容は、氏の豊富な経験と高い識見に基づく大変有意義なものでありました。中でも、各参加者が特に関心をもたれたのは、オンブズマンの機能している国を1]経済が発展した確立された民主主義国、2]経済が発展した新興民主主義国、3]経済が発展途上にある新興民主主義国、4]経済が発展途上にある確立された民主主義国の四つの類型に分類し、各類型ごとにオンブズマンの果たす主たる役割の相違について説明された点ではないかと思われます。

なお、氏は我が国の行政相談制度については、1]のタイプの国におけるオンブズマン制度に最もよく似ており、業務の内容を見ると、この制度が、他の国々のオンブズマンと同じ機能を日本で果たしていることは明らかである、との認識を示されました。

 

2] パネルディスカッション

パネルディスカッションは、名古屋大学の後教授の司会により行われ、各パネリストから色々な意見が述べられましたが、その要点は、「行政相談(委員)制度が、非常に高い到達点にあるといえるような実績を積み重ねてきていることについては異論のないところだと思われるが、それだけに、それがなぜ国民にあまり知られていないのか、それを国民にもっと知られるようにするためにはどうすればよいのか」ということが繰り返し論じられ、「要すれば、行政相談(委員)制度は、国民によく周知されていなければ、その機能を十分に果たすことが出来ない。したがって、これらの制度についての国民への周知ということが、非常に重要である。そのためには、例えば、行政相談で処理した事案をマスメディアの活用等により一般国民に知らせる、ということを一層積極的に行う必要があるのではないか。」ということであったと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION