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(ソウ氏)

私は、地域社会のいろいろな場面でセミナーだとか、講演会だとかを開いており、学校でもセミナーを行って普及、啓発に努めています。その中の一つとして、教材のキットも作成しました。香港では、現在小学校と中学校の教育課程の中でオンブズマン制度に関して教えなけばならないことになっております。さらに、別の普及・啓蒙活動の一環として、公共広告(30秒間)を作成し、すべてのテレビチャンネルで3か月間(1日に1回放映)放映するものであります。これは、アニメーションで、登場するキャラクターはオンブズマンの代表の番犬ですとか、一般市民の代表としての悩めるカエル君とか、あるいは公共機関の代表としてのその他の動物たちが出てストーリを構成しているのです。この公共広告の背景には、中国の古い諺にもある「調和は尊いものである。」ということがあります。これは、市民と公務員との間の調和的な関係を増進していくことが重要である、ということをメッセージとして伝えたいわけです。テレビ放映は、政府が買い取った放映時間の中で行っており、オンブズマン事務局は放映費を全く払う必要がありません。

 

(パターソン氏)

私は、ヴァヌアツの初代のオンブズマンです。ヴァヌアツのオンブズマンの職務は、i)多くのオンブズマンの代表的な職務であります、政府の行政の過誤について調査を行うこと、ii)ヴァヌアツ国民は、三つの公用語(ビスラマ語、英語、仏語)のうち、選択した言語で政府のサービスを受ける権利がありますが、これが守られない場合に救済すること、iii)ヴァヌアツには指導者(首相、閣僚、国会議員、高級官僚等)の行動を規制する「指導者規程」がありますが、これを指導者に守らせること、の三つであります。

私が1994年にオンブズマンに就任してから4年間にわたり、国会議員等から組織として、また、個人として色々な攻撃を受けており、ついには1997年11月の国会でオンブズマン法が廃止される事態となりました。(しかしながら)1998年3月6日の選挙によって新政権が発足し、その数週間後、新首相から「新政権は(オンブズマンの)勧告に対応すべく現在その措置を講じている」という書簡を受け取りました。また、政府は、新オンブズマン法を年末までには議会に提出するということを約束してくれております。

なお、ヴァヌアツは、80程の島で構成されているのですが、まだまだ発展途上の国であり、また、資源も限られておりますので、十分にスタッフを雇うことはできません。このため、昨年、我々の活動に協力していただくボランティア制度を設立しました。このシステムは、皆様方行政相談委員の方々をモデルにさせていただきました。

 

2] パネルディスカッション

パネルディスカッションは、近畿大学の畑教授の司会により、各界を代表する6人のパネリストによって熱心な討論が行われました。

 

 

 

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