2 フォーラム開催の実績
このフォーラムのプログラムは、運用上若干の変更はありましたものの、基本的には、1]海外から招聘したオンブズマン等による基調講演、2]各界の有識者によるパネルディスカッション、3]海外からの招聘者と行政相談委員の代表とによる意見交換、という構成になっておりました。
ここでは、5回にわたって開催致しましたフォーラムの実績を大阪、仙台、広島、名古屋及び福岡の各市の順にご報告させていただきます。
(1) 大阪フォーラム
行政苦情救済・オンブズマン 大阪フォーラムは、平成8年11月27・28の両日、大阪市の「プリムローズ大阪」において開催しましたが、約350名の参加者を得て盛大に開催することができました。
大阪フォーラムは、このシリーズの最初の事業として、その結果如何が今後に影響することも考えられますことから何かと心労もありましたが、海外のオンブズマンも快く私どもの招聘に応じていただき、また、国内の関係者のご協力もいただきまして無事開催の運びとなり、安堵したことを今思い出しているところであります。
フォーラムの第1日目は、午前10時過ぎから先ず海外から招聘致しました二人のオンブズマンによります特別講演が行われ、午後は片岡早稲田大学政治経済学部教授の司会によりまして、各界の代表者6名のほかに二人の海外からのオンブズマンの参加を得てパネルディスカッションが行われました。また、第2日目は、海外から招聘した二人のオンブズマンが京都行政監察事務所を訪問され、午前10時から所長室において、行政相談委員の代表との意見交換会が行われました。
大阪フォーラムの概要は、以下のとおりであります。
1] 海外オンブズマンの特別講演
大阪フォーラムには、南オーストラリア州オンブズマンのユージン・ビガノフスキー氏及びマレーシアの首相府苦情調査局長のウン・カム・チュウ氏の両氏を招聘致しました。
講演において、ビガノフスキー氏は、世界のオンブズマンの動向についてご報告された後、日本の行政相談委員制度を参考にして、自国の治安判事にオンブズマンの業務の一部を委託することとした旨を披露され、また、ウン氏は自国の苦情処理制度について「苦情の処理がうまく進んでいる」と自信に満ちたご報告をされました。
次に、両氏の発言のポイントを紹介させていただきます。
(ビガノフスキー氏)
1992年ウィーンで開催された第5回国際オンブズマン協会総会の席で日本から出席されていた塚本氏(現、行政監察局長)から初めて、日本型のオンブズマンとして行政相談制度、行政相談委員制度について聞きました。その後1994年ニュージーランドのタウポで開催された第14回オーストラリア・太平洋オンブズマン会議の席で鎌田会長から行政相談委員制度について詳細な説明を聞き、これは、オーストラリアにおける「治安判事」制度に似ているという印象を受けました。私は、治安判事の役割がオンブズマンのシステムの中に適合していくものと考え、約6,500名いる治安判事の一部を選抜し、「オンブズマン委託判事」に任命することとしました。