浅井局長:どうも有難うございました。ここからは残りが20分しかありませんのでコンパクトにお願いします。堀内委員お願いします。
堀内委員:行政相談委員法の第4条の活用についてお話したいと思います。
行政相談委員法の第4条には、委員は総務庁長官に対して行政運営の改善に関する意見を述べることが出来る、と規定されています。私は、この第4条を活用して、テレホンカードの差込方向を示す矢印が、非常に小さいので拡大してほしいとか、訪問販売等に関する法律の第6条「クーリングオフ制度」の対象が商品に限られていて、役務やサービスは対象外であったので、非常に不合理であるということで、指定商品の追加ということも提言しました。また、最近、郵便局で使われる電信振込通知書の書式の改善について意見を述べ、改善の成果を得ました。
このように業務の遂行を通して得られた、身近な課題等について行政相談委員が第4条を活かして申し出たり、意見を述べたりすることが、苦情などの迅速な解決に繋がることが多いということを実感しています。加えて、この第4条の活用は、私たち行政相談委員の役割でもあると思っています。カナダにも行政相談委員法第4条のようなシステムがあるのでしょうか。もしあれば、今後の活動の参考にしたいと思うのでお教えいただけないでしょうか。
ジャコビー氏:ケベック州にはオンブズマン法があります。その中にオンブズマンの権限がはっきりと定められています。もちろん、寄せられた苦情を救済するというのが一つあります。もう一つ大切なことが、行政府に対して勧告を行うという権限です。その中にも条項があって、いろいろ寄せられた、苦情、申し立ての性質に鑑みて、州政府、関係省庁に対して改革を要求することが出来るということです。行政改革、立法改革、司法改革に関する勧告を行うことが出来るという条項も盛り込まれています。このような働きが出来るということで、非常に大きな変化をもたらすことが出来る立場にいます。
先程、電信振込通知書の書式の改善という具体的な例をお聞かせいただきましたが、これこそ私が昨日からお話している、システミックな介入ということであろうと思います。このシステミックな介入というのは、ある苦情に対して、その人のためだけの救済をするのではなく、その人から挙げられてきた苦情、申し立てを救済することが、もっと多くの人、全体の人への救済に繋がるというタイプのものですが、まさにその良い例ではなかったかと思います。
役所で作るパンフレットを見てみますと、納税に関する説明パンフレットなどがありますが、分かりにくいということがあります。ケベック州の財務省がこれに関わるのですが、しっかりと納税者が法を守って納税してほしいのであれば、きちんと納税者が分かる形で提示してくれないといけないという観点から、オンブズマンとして介入し、改善が見られました。
もう一つ強調したいのが、真の意味での公共サービスの質の向上を進めていくには、やはり、いろいろな問題の根源に働きかけ、そこを改善していくということを常に念頭におかなければならないということです。