外国人にとっては、折角、身近な相談窓口で回答を求めたにも関わらず、用が足りない。改めて自分で関係行政機関に照会したり出向いたりという結果になっている場合が多いのではないかと推察します。従って、相談する側の不安を取り除くために、先程も話しに出ましたが、外国人におけるワンストップ化というものを、出来るだけ実現すること、関係行政機関から外国人相談組織に必要な情報を適時に提供することだと考えています。
東京都では、外国人相談ハンドブック等が作成されていると聞いていますが、外国人からの相談事案の中で特に多い、出入国、国籍、戸籍について、あるいは医療、社会保険、所得、税金等については、出来れば外国語表記のわかりやすい解説のサービスが必要ではないか、これは今後の課題であると考えています。
昨日のお話で、オンブズマンというのはスウェーデン語で、他の代弁者という意味であると伺いましたが、地域のコミュニティーで重要な構成要員である外国人の代弁者としての役割が必要ではないかと考えます。そこで質問ですが、カナダのケベック州の場合、外国人のための相談、特に苦情処理についての組織化、あるいはプログラムが準備されているのでしょうか。もしありましたら、その状況や問題点についてお話いただきたいと思います。
ジャコビー氏:ご紹介いただきました、外国人に対するアンケートの中で、「問い合わせに対し、十分な情報が与えられない、全体の手順を初めにきちんと教えてくれない、」というような意見があったとのことですが、これらは洋の東西を問わず、また、外国人であろうとなかろうと、皆が官僚性に対して感じていることであると思います。
カナダもそれらをより良い方向に動かそうとして努力はしていますが、例外ではありません。しかし、公共のサービスがその地域の住民に対して向けられるものであるという原点に立ち戻れば、そこは変えていかなければならない、すべての人のために変えていかなければならないという点については異論のないところであると思います。
しかし、依然として分かりにくい手順がそのまま長く続いている現状には、行政側が住民との間に壁を作っているということがあると思います。そうした壁を作っておかないと、自分達の仕事がやりにくいとか、途中で邪魔をされたくないという意図があると思います。その壁を突き破る突破口となれるのが、皆様のような行政相談委員ではないかと思います。
そして最終的には、先程もいいましたが、そうした壁を作る空気、文化を変えていくという必要があります。これについては、行政監察局なども、文化を変えるプログラムをどんどん導入して実施していくべきですが、これは簡単な作業ではありません。情報公開についても、長い間問題とされていることでもあります。これについて、政府の立場からいいますと、何もかもは公開できないというのが本音でありましょう。政府がプログラムを導入するには、まず、領土を守る、軍隊のあるところでは軍を守る、また、国の利害を損う人間をいち早く見つけて対処する、そして住民からしっかり税金をもらうということが重要なわけですから、それらをどのようにするかはすべてを国民には見せられないということがあろうかと思います。