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浅井局長:有難うございました。それでは、個別的、具体的な相談事案の受け付け処理の仕方について、岡崎委員お願いします。

 

岡崎委員:私は、福岡市の行政相談委員をしております。

福岡市での外国人に対する相談についてのお話をしたいと思います。福岡県は、現在外国人の登録者が3万7000人、全国の2.45%ですが、そのうち福岡市に県全体の47.8%が集中していまして、約1万7000人の外国人が住んでいます。外国人は、コミュニティーの構成員でもありますし、また、納税者でもありますが、外国人の相談業務については、正式にはっきりしたことが行われておりません。そこでどういったことが問題なのかを知りたいということでアンケート調査を行いました。

アンケートは、福岡にあります「福岡インタナーショナルスクール」の教師、父兄を対象に行いました。その理由は、地域の、真の国際化のためには、外国人が安心して住めるインフラの整備が必要ですが、その中でも、国際教育のインフラということが非常に重要であると考えます。現在インターナショナルスクールは、小学校、中学校、高校を一貫して外国人に英語で教える国際学校です。従って、その関係者が日本及びその地域に抱く印象は重要な情報と考えましたので、そこでの教師及び父兄に対してアンケートを行いました。アンケートの内容については三つの質問をしました。

1番目は、日本の役所について、例えば区役所、入国管理局についてどう思うか。

2番目は、日本の医療、保険、教育等について感じたこと。

3番目は、その他感じたこと。

 

今日は、特に1番目の日本の役所についての回答から一つだけご紹介したいと思います。2番、3番については時間の都合上、割愛させていただきます。

役所について、次のような厳しい意見が寄せられています。その意見を読ませて頂きます。

「ほとんどの役所では、こちらからの問い合わせに対して、十分な情報を与えてくれない。ある程度の段階を経て初めて次のステップを教えてくれるという具合なので、最初から終わりまでのステップを初めにきちんと教えてほしい。日本の役所のシステムは、システムそのもののためにあるようなので、住民のためにあるものではないという気がする。役所から得られる助けは、表面的なものに留まっているのではないか。」

 

一般的に個々の相談事案について見ますと、外国人から求められる相談で最も目立つ内容としては、行政に対する問い合わせが多いということが挙げられます。その内容については、単なる問い合わせではなく、不安を伴った問い合わせであるということが特徴です。というのは、在留外国人は入国管理法を中心とした各種の法令によって規制を受けている。ですから、それらに違反をした場合には、例えば、不法滞在、不法入国等の理由で厳しい処分を受けることになりかねないということがあります。また、一方、相談を受ける側の問題として、担当者が専門家でない場合には、決定的な回答をするには情報、知識が不足している、あるいは、所管の行政機関を教えるだけの未消化の処理に終ってしまうという場合が少なくありません。

 

 

 

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