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ところで、カナダでは女性の社会参加が非常に進んでいると聞いておりますが、女性のオンブズマンの活動とかオンブズマン制度のPRがどのようになされているのか、特に女性委員の活動についてお聞かせいただきたいと思っております。

 

ジャコビー氏:今のお話をお聞きしていますと、まさにプロアクティブを地で行くような活動だと思います。是非、私のオフィスに引き抜きたいです。

今、世界どんなところ、どんな社会を見ていましても女性問題というのがクローズアップされ、また、重要なものとして認識されています。それはやはり、何世紀にもわたって男性中心社会であったことへの疑問、それを変えることへの必要性の認識が高まってきたからだと思います。これについては、ユネスコなどの国際機関などもいろいろと重要事項として捉えておりまして、男女の平等というものがこれからますます具体的な形で実現していくと思われます。それを映す社会というものも変わってくることでしょう。

カナダの例なのですが、女性はオンブズマンではなくオンブズウーマンといわなければならないのでしょうけれども、私、ケッベク州のオンブズマン事務所には、去る1月に就任致しましたが、女性の副オンブズマンが1人います。しかし、この副オンブズマンという役職についた女性は、私の事務所ができて31年目にして初めてのことでした。ただ、主席オンブズマン−現在の私の立場なのですが、前任者の中には1人女性がおられました。13年前に私はケベック州のオンブズマンになりましたが、当時オンブズマン事務所のスタッフの構成は女性が約3割でした。是非この割合を増やそうと、私は取り組む行動計画を立てまして、現在75%になりました。男性のスタッフからやり過ぎではないかと言われているのですけど、女性といいましてもただ単に女性問題を扱うのに非常に適しているだけではなく、社会問題のいろいろな面で女性の方がよりクリエイティブに想像力を発揮、創造性を発揮できる分野がありますし、非常に打ち込める分野という社会問題をたくさん見出すことができます。その社会問題を含めて女性が置かれているいろいろな状況というものをより良くして行こうということで、皆さんご存知の通りNGO(非政府組織・民間組織)などがたくさん取り組んでおります。それはカナダも同じですし、州政府レベルにおいて家族や子供を専門に統括する省がございます。その他州政府の関係機関としても女性問題を扱うところがございます。カナダの国家機関としましてもあります。

私が、丁度3か月前オンブズマンとして介入した案件がございました。これは、人権委員会と共に行った公開フォーラムにおいて、長期介護施設における高齢者への、主に女性高齢者への虐待ということがトピックになったのでした。それを基にオンブズマンとして22の勧告・報告を作りまして提出したという経緯があります。

現在カナダでは、州ごとにオンブズマン制度を持っていますが、国全体としてのオンブズマン制度はございません。各州オンブズマンの中に1人、女性のオンブズパーソン(オンブズマンと表しているが、女性だとオンブズウーマンだから、二つと並べるべきか確認したところオンブズパーソンと表現するのがいいとのこと)がいますが、やはり女性は完全に少数派となっております。私としては、私の後任には女性がいいと期待しております。

 

 

 

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