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もう一つはラジオです。これも定期的に週1回というペースです。時間の枠は5分から10分ぐらいなのですけれども、ラジオの番組に出てオンブズマンの役割、何をしているのかということを話しています。オンブズマンは、もちろん、その内容、行ったことに関しての報告書を出しますし、どのような会議を行ったかについても公表されます。そういうことで必ず1週間の中で何回となくオンブズマンであるとか、オンブズマン事務所が何をやっているのかとかの情報がケベック州全体に伝えられるという現状です。この他の形体としては、活字媒体などがもちろん含まれてきます。

オンブズマンの存在、そしてその仕事というものを周知するための広報活動の話をしましたが、私としては、単に知ってもらうということに止まらず、やはり、オンブズマンの質−オンブズマンのやっていることを、皆さんがどのように評価しているのか、満足しているのか、不満があるのかというあたりを是非把握しないといけないと思います。これがとりも直さずオンブズマンの質の向上ということにつながっていきます。ということでここでも「サーベイ」という形で調査を行いまして、不満がある人は不満も出していただけるような窓口というようなものを作っています。もちろん、不満の内容をすべてうのみにするということではなく、その内容を検討し、納得できるものがあれば今後の改善のヒントとしていくということでございます。この内容につきましては以前は公表されてないということもありましたけれども、私はオンブズマンの事務所が今後の改善策として取り上げていくものなどは、完全に公表して地域の皆さんにも知っていただくという方法をとっています。

もう一つ広報につながる道具として出版という道が考えられます。ケベック州の場合は、年次報告書を出すといことがオンブズマン法で定められています。そして、それに加えまして非常に重要な案件につきましては、特別報告書も出版します。これは、州の議会にも提出されるものです。大体年間特別報告書4つから5つというのが平均的にあります。これは、オンブズマンが何をしているか知ってもらうと同時に、オンズブマンがその役割を果たすという側面からも欠かせないものです。ですから、この出版活動というものを定期的なものとして行っています。年次報告書の中には、もちろん活動全般の色々な情報を組み込みますけれども、皆さんもなさっているような年間でどれくらいの件数の受付をしたか、また、その内容、その苦情申し立ての内のいくつが正当性を認められたか、その内いくつが関係諸機関へ通知されたか、というような数字的なものがあります。それと同時に、全体を通して出てくる重要な課題・問題は何かということもこの報告書の中で明記します。それについて何をしたのか、というきちんとした説明をします。このような報告書の使い方というのは、オンブズマンの持つ説明責任をしっかりと果たしていく上で欠かせないものです。

そして、報告書の内容の抜粋は、地元の新聞にも出していくということです。このような活動・作業こそが、昨日お話しました、ただ単にアクティブであるというだけではなく、先取りして主導権を持つ「プロアクティブ」というようななオンブズマンを実現していくというところにもつながります。

 

 

 

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