ケベック州でも、そのような問題にオンブズマンがさらされるということはあります。ただ、性格上、行政相談委員の場合も同じですが、まずは国民の皆さまに知ってもらわなければならないということで、名前だけではなく電話番号も公表されるということがあると思います。それを、広報誌に載せた方がよいのかということになりますと私は疑問があります。
私自身が身の危険を感じた経験をお話します。立場上、人前に出ることが多く、顔も知られています。オンブズマンとして、いろいろな方から苦情を聞くわけですが、その内容の正当性が認められない場合には、却下することや受け付けない場合があります。それについて、逆恨みをされることもあります。3年程前ですが、ケベック州の殆どのラジオ局から、「ある人物が、あなたの命を奪うためそちらに向かうと言っている」という連絡がありました。これは大変だということで、私はすぐに警察に、そのような動きがあるのかと照会しました。その人物は銃を持っていて、私の命を奪おうとしているということでしたが、警察が動いてくれまして、事なきを得ました。
ケベック州のオンブズマン制度は、日本の行政相談委員の制度とはかなり違いますから、一概に申せませんが、皆様のようなお立場で、ご自分のプライバシーやご自分の資産をしっかり守るという点で、どのような保護策が必要なのか、どんどん意見を上げていただいて、全体に共通するような何かを作っていかれるということが大切ではないかと思います。
浅井局長:それでは、次に岸本委員にお願いします。
岸本委員:私は、豊前市における相談活動の現状を少し申し上げたいと思います。豊前市では、相談室を市の総合福祉センターの2階に設けられていて、そこで、毎週水曜日の午前10時から午後3時まで「定例相談」を開催しております。そして、第3水曜日には午後1時から4時まで、弁護士さんにも出席していただき、行政相談委員、心配ごと相談員が受け付けた事案で、その内容が法律関係のものである場合は、これを弁護士さんに回しております。
相談に当たる委員でございますが、豊前市には、行政相談員1人と心配ごと相談員が5人(みんな女性で民生委員)おります。そして、婦人相談員という方が1人おります。その方も時々この相談室に来て一緒に相談を受けます。相談にこられた人からその内容を聞き、相談員の中で処理ができるものについては、処理します。難しい問題になりますと、弁護士の方が来られる日に相談してみてくださいということでやっています。それから、行政の問題については、行政監察局の方に連絡し、処理を依頼する、そういうことで処理をしているところでございます。
それから、豊前市はかなり広い面積をもっておりますので、遠隔地から相談に来られる方は、非常に交通の便が悪くて困っておられるということで、行政相談委員と心配ごと相談員がその遠隔地のところに出張して相談を受けるということにしています。しかし、現地に相談を受けに行きますと、誰々が相談に行ったとかいうようなことになりますので、逆に相談しにくいという面もあります。そこで、一通り出張相談をやってからもう一回考えてみましょうかということにしております。
それから11年度の受付件数でございますが、対象内、対象外のものを合わせて113件あります。以上でございます。