ジャコビー氏:私のところでは、今までそのようなことを行ったことはありません。
私の管轄するケベック州でのオンブズマンの窓口は、2箇所あります。一つは、この州都で、もう一つはモントリオール市です。ですから、日本の制度のように津々浦々にそれぞれ窓口があるという形とは少し違っております。ただ、ケベック州の人々からのいろいろな苦情の受付の方法としては、電話はありますし、最近ではインターネットもよく使っております。でも、私の個人的な考えとしては、日本のようにケベック州内のいろいろな個所に、相談できる窓口を作れたらという意向はもっておりますが、やはりこれには資金を含めましていろいろな資源が必要となります。ケベック州の州政府がそれを出してくれるということになるのかどうかにかかわってくるので、何ともいえないところです。
ただ少し似ているかなと思う活動が一つあります。私、オンブズマン自身と事務所のスタッフ5人を連れて、半年に1回その事務所の窓口がない地域を訪問するというプログラムを作っております。私に同行します5人のうち、2人は調査官という立場の人になっております。そして、訪問先で会議を持つわけです。このようにして、皆さんからいろいろな意見、苦情を含めたいろいろな声をお聞きするという場をもっています。
公共サービスに直接携わっている公務員ですとか、地元の政治家にも会います。とりもなおさず、そこの住民の人たちから苦情はもちろんですが、オンブズマンに対してどういう期待がかけられているのか、また、公共のサービスに対してどういう期待をもっているのかという声を聞いています。
浅井局長:話の途中で恐縮ですけれども、終わりの時間が限られておりますので、進行方法を変えまして、まず、発表だけを順次やっていただき、その後、質問はまとめて最後にお願いしたいと思います。そうしないと、時間切れで、発言できない方が出てくる恐れがありますので、恐縮ですけれども、そういうことでやらさせていただきたいと思います。それでは、小島委員お願い致します。
小島委員:私は自分の経験からオンブズマンの保護についてお尋ねしたいと思います。
私は1991年に行政相談委員の委嘱を受けまして、当初のことなのですが、私が担当する市の広報紙に行政相談委員のPRを行いました。顔写真、それから住所、氏名、私の自宅の電話番号を掲載いたしましたところ、私が女性であったためか、匿名の電話が長期に渡り繰り返しありまして、ストーカー的な嫌がらせを受けたという経験がございます。その当初は、私にもありませんでしたが、個人情報の保護という意識がなかったからではないかなというふうに受け止めております。その後、私の担当地域の市の方と協議して、広報の仕方を改善いたしまして、相談を受けるのは公共の場所でのみという形に変えましたところ、以後問題は起こっておりません。
カナダでのオンブズマンとして、さまざまな事案を解決、処理なさると思いますが、オンブズマンを保護する制度として、どのようなものがあるのか、また、どういう対応をしているのか、お尋ねしたいと思います。
ジャコビー氏:オンブズマンは、護民官とも呼ばれるくらいですから、人々を守るべき立場にありますが、それでは、誰がオンブズマンを守ってくれるのかということだと思います。