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それから、いわゆる市民オンブズマンの活動の中には、例えば、情報公開の請求をしたのに公開されない、という場合に、裁判にまで持ち込むというようなこともあるようですが、私どもの行ってる行政相談では、裁判で係争中のものなどは取り扱わない、ということになっておりますので、行政相談と直接ダブってくるということもないのではないか、という感じでおります。

 

しかし、いわゆる市民オンブズマンという方たちの活動について、我々全く関心がないかといえばそうではありません。価値観や考え方はいろいろだと思いますが、先程、ジャコビーさんがおっしゃいました「Watchdog」−監視の一つの在り方として、また、我々の情報源の一つとして、関心は持っておりますし、我々が気を付けていかなければならないな、というようなこともその活動の中に見られる場合があることも事実だと思います。

ただ、いわゆる市民オンブズマンというのは公的な位置付けがなされていない、法的な基盤も制度的な裏づけもないということで、例えば行政機関に何か物申された場合でも、それが情報公開制度でありますと、条例の定める手続に則してとか、あるいは司法手続によるということがあるわけですが、そうでない場合には、行政機関側がそれに対応することは保証されていないという点で、公的な苦情救済の制度に代わって活動していくということにはならないのではないかと思っております。

以上です。

 

(司会)

我が国では、「オンブズマン」という言葉の使用が制限されておりませんので、公的、私的にいろんな方面でオンブズマンという名称が使われており、一般の方々は混乱されていると思います。これが今後どうなるかということについては、この場では全然問題にするわけではありませんが、日本ではどうもこの「市民オンブズマン」という名前とその活動が新聞等で見かけることが多いものですから、そちらが本家というような傾向がなきにしもあらず、ということでご質問が出たということだと思います。非常に重要な問題が質問として出されたと思います。

それでは、坂本さんには次のような質問が参っておりますのでお願いします。

「坂本さんは長年にわたりボランティアで行政相談委員としてご活躍されているようですが、その熱意はどこから出てくるのですか。また、レジュメでは、解決された事案を紹介していただいておりますが、(失礼な質問かと思いますが)相談事案の中には解決出来なかったものもあるのではないかと思います。解決出来なかった事案についてもお話いただけませんでしょうか。」

二つありますから間違いなくお願いします。

 

 

 

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