質疑応答及び補足
(司会)
皆様方からたくさんの質問が出ておりますので、その整理に時間が掛かり、再開が少し遅れました。それでは再開したいと思います。
たくさんの質問が出ており、残念ながら時間がございませんので、すべての質問にはお答えできないということを、予めお断りしておきたいと思います。
最初に、基調講演をしていただいたダニエル・ジャコビーさんに次のような質問が出ておりますので、お答えをいただきたいと思います。
「ケベック州では、行政組織の中に私ども日本の総務庁のように自ら苦情を受け付け、自らの行いを正していこうという組織はあるのですか。もし、そういう組織が行政府内にあるとすれば、それとオンブズマンとはどのような関係になっているのですか。」
ジャコビー氏
ご質問の中にありますように、確かにケベック州の公共機関の中には、自己改善機能を持った仕組みが存在しております。私がケベック州のオンブズマンになりました13年前には、そういった仕組みはありませんでした。そこで、私は、やはり行政の有効性を高め、説明責任を果たすという観点から、自分達が引き起こした問題についてはその処理も自分達が行うということが基本であると考え、そのような仕組みの導入を強く要請しました。そして、この要請を受け入れた機関において仕組み導入されたいうことです。現在のところケベック州内の省庁又は機関の75%がこのような内部の自己改善機能を持っています。
私は、州民(市民)が自分の持っている問題又は苦情については、オンブズマンのところに来る前に、関係している州の省庁であるとか機関の方に申し出るべきであると思っております。そのような行動を起こすこと自体が、州民としての責任だというふうに認識しております。
もちろんオンブズマンは、苦情救済に関する制度ではありますが、ケベック州の75%の省庁又は機関が内部で自己改善機能を持っているわけですから、まずはそこに相談してみるというのがステップかと思います。そこで、ある人が私、オンブズマンのところに苦情を申し立ててきた場合、私のする質問は、この苦情に関係する機関に話しを持っていったかどうかということです。答えが未だだということであれば、まず、どの機関に行けばいいかという情報を提供します。そこで州民が自分の苦情を投げかけ、何らかの解答を得るわけですが、その返ってきた解答又は解決策に満足できない場合には、オンブズマンのところへどうぞというふうに勧めています。
もちろん今申し上げたことが大原則ということであり、例外はあります。それは、苦情を申し立てた人が何らかの障害、例えば、精神的又は知的な障害を負っているためにそのような手順を取れないような時にはオンブズマンが介入しますし、高齢者であって権力に対していろいろな戦いをしていく体力が無い場合にもオンブズマンが介入するということです。
ですから、行政の側に自己改善機能があるということは非常にいいことですし、説明責任という観点から見ても前向きな要素が多いと思います。また、私のオンブズマン事務所のスタッフも各省庁・機関内部の改善機能とは密接な関係をもっておりますので、そのようなやり取りを通してオンブズマンとしての介入の考え方などを伝えていけるという面でも非常にプラスの面があります。