しかし、一番の否決の理由になりましたのは、「苦情処理を第三者に委ねるということは、行政の責任回避につながる。もっと職員がちゃんとやっていけばいいじゃないか」ということでした。これは確かにそうなのですけれども、今までの行政がそういうことができなかったのです。だから、第三者的な人が必要なのじゃないのか、というのが私の主張なのです。
それから、もう一つの理由が、「介護保険制度も始まっていない段階でそのようなものは必要ないのではないか」ということでした。もっとも、この発言をされたのは、福祉施設を経営している議員さんでして、何だか自分のところがチェックされるのが嫌だ、というような私的なことが入っていたのかもしれませんが、そういう理由だったのです。
さらに、私が、オンブズマンの件を議会に説明する前にマスコミに発表(定例記者会見ではございましたが)し、初めてのオンブズマン制度ということで取り上げられたものですから、話す順番が違うのじゃないかということも一つの拒否理由になったようです。
このような理由で結果的に否決をされたということでございます。これは恐らくどこの市町村の議会もそうであろうと思うのですが、入口の段階が大切です。入口の所に突破口がないということではないかなあと思います。ここに自治体におけるオンブズマン制度導入の難しさがあります。
もう一つお話させていただきたいのは、自治体における「オンブズマン」という名称です。これが非常に抵抗があるのです。先程からお話をお聞きしながら何かいい名称はないのかなということを考えていたところです。どうしてもやっぱりこれは地方に行けば行くほど、オンブズマンというネーミングには抵抗があるということでございます。この辺り何かいい知恵がありましたら是非ともご指導いただきたいと思っております。
それから導入へ向けての今後の対応でございますが、私も3月議会で否決をされて、9月議会にどうしようかなということでかなり検討も致しました。結果的には、1月選挙でございますので、公約の柱にしようということに致しました。この公約というのは非常に重いわけでございますから、私が当選させていただいたら、必ず議会も議決をしていただくものと信じているわけです。情報公開、それから説明責任、市民の満足度ということを満たして行くには、このオンブズマン制度というのは、地方自治にとっても必要なことであろうと思いますし、21世紀はかなりの市町村でこういったものが取り入れられていくと私は確信をしているところでございます。以上でございます。
(司会)
体験に基づく現場からの発言ですので、これ以上司会の方から申し上げることはありません。自治体におけるオンブズマン制度導入の難しさということ、その意味するところが何かということがよくお分かり願えたことと思います。
それでは続きまして、沖縄県の行政オンブズマンの宮城さんにお願いします。