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オンブズマン制度導入への取組みとその課題

 

野田国義 (八女市長)

 

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ただいまご紹介いただきました、八女市長の野田国義と申します。どうぞ、よろしくお願い致します。

私、8年前に市長に就任を致しました当時は34歳ということで、全国で現職の市長では一番若いということでございましたが、今42歳になり、今度の1月に3期目の選挙ということでございます。

 

本日は、私がこの8年間体験あるいは経験してきたことを皆さんにお話をさせていただくのが一番お分かりいただけると思いますので、その辺りの所をお話させていただきたいと思います。

私、先の3月議会に福祉に関する苦情調整委員の条例案、いわゆる福祉オンブズマンの条例案を提案致しましたが、結果的には否決されました。その経緯を少しお話をさせていただきます。

行政にはいろんな問題が起きてくるのですが、8年間の経験から思いますことは、市長あるいは市の職員というのは苦情や問題事案の解決能力が問われるということです。私は、いろいろな方策をとってきました。例えば、当時、市長室にFAXを置くことを公約に挙げましたが、これはもう当たり前のことで、今はインターネットの時代です。最近八女市では、市の広報にも毎月「はがき」を入れまして、苦情とか提言とかございましたら遠慮無くということで、公聴活動をしっかりとしています。このため、いろいろな苦情も来るわけですが、これもなるべく私本人が電話等で回答をするようにしております。手が回らない部分については市の職員が対応するということになります。そうすることによって、いわゆる行政に対する満足度や納税者の意味合いが増してくるのではないかと思います。そういう取り組みをさせていただいているところでございます。

 

では、何故福祉オンブズマンの条例案を3月議会に提案させていただいたのかと申しますと、この8年間、市政をやっていく上で、私は、私を含めて4役(助役、教育長、収入役)、それと議会の皆さん、あるいは職員でいろんなことを決め、あるいは苦情処理なんかもやってきましたが、ここにいわゆる第三者、中立的な外部の方に入っていただくということが、これからの大きなキーワードであろうと思いますし、実践をしていく中で必要性を感じたことでございます。

それで、最初はいわゆる市政オンブズマン−市政全般の問題を扱うオンブズマン−を是非とも作ってみたいなということで進めておりました。しかしながら、議員の方といろいろ話をしていく中で、市政全般ということになると、自分たち議員の役割−行政のチェックは俺たちがするということ−と競合するじゃないかというような話になりました。そこで、私も一歩下がって、介護保険制度が4月から導入されるので、そういった分野を対象にしたものに切り替えていきました。しかし、議会の中では、「中立といっても市長が任命するのだから市長寄りのオンブズマンになるのではないか」あるいは「越権行為をするのではないか」というようなことが論議されました。

 

 

 

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