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先程、ジャコビーさんのお話の中で、「個別の苦情の解決だけではなく、行政の効率化であるとか、当該苦情の根本に横たわっている問題の解決であるとか、あるいは問題の再発を予防するといったような活動が重要である」とおっしゃったわけですけれども、私ども総務庁の行政相談においても、先程も申し上げました、行政苦情救済推進会議でありますとか、あるいは行政監察といったような総務庁の機能を通じましてそのような活動を遂行しているのでございます。その辺もご理解いただければ有り難いと思います。

 

次に、行政相談制度の運営状況についてでございます。

行政相談の受付件数は、全国で1年間に約21万件となっております。この中には、本当に困ったという個別具体の苦情のほか、困っていることがあるのだが、どこへ相談に行ったらいいのか分からないとか、どういう手続が必要なのか分からない、といったもの−照会事案と称していますが−そういうものも含まれております。そういうものを全部合わせて21万件くらいの申出がございますが、そのうちの7割は、行政相談委員さんが受け付けておられるということで、行政相談制度の中で、行政相談委員さんの果たしておられる役割が非常に大きいということをご理解いただきたいと思います。

行政相談の受付方法と致しましては、総務庁の出先機関(管区行政監察局・行政監察事務所)の窓口や行政相談委員さんのご自宅、あるいは行政相談委員さんが特定の場所で開かれる定例相談所などへお出になっても結構ですし、また、電話や郵便、さらに、ファックスや最近ではインターネットでも受け付けております。全国どこにお住まいの方でもアクセスの手段は多様であるということでございます。

それから、例えば、地震が起こったり、火山の噴火が起こったりしたときには、特別の相談体制を組んで集中的に相談に応ずるということもやっているわけでございます。時間の関係で端折らざるを得ませんけれども、このように総務庁の行政相談制度は、我が国において重要な役割を果たしていると考えております。

 

最後に、今後私どもが取り組むべき課題について申し上げたいと思います。

まず、行政相談制度についての国民の周知度を高めるということがあります。かつて行われました世論調査を見ましても周知度は30%程度ということでした。そこで、あらゆるPRの手段を使いまして周知度を高くしなければいけないということでございます。制度の存在が国民に知られていなければその制度は利用されないということでございます。まず、存在を知っていただいて、大いに役立つ制度である、助けてもらえるところであるということを分かっていただく必要があります。そのために、解決された、分かりやすい事例を新聞等で伝えていただくということも重要なことであろうと思っております。マスコミの方々にもご理解をいただき、是非ご協力をお願いしたいと思っているところでございます。

それから、総務庁は、来年自治省や郵政省と一緒になりまして、総務省という役所になりますけれども、この三つの役所が一緒になることを契機に、この行政相談の業務をより発展させるための方策を考えなければと思っているところです。例えば、郵便局に相談箱を置いたり、あるいはこの町の行政相談委員はこんな方ですよというポスターを貼ったりというようなことですね。郵便局は全国に2万何千とあって、各町には必ずいくつかあるわけですから、そういう場も使っていきたいと思っております。また、よりアクセスしやすい手段も導入していきたいと考えております。

 

 

 

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