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現在の総務庁、これは行政監察を実施することによりまして行政の効率化、適正化、あるいは行政改革全般の推進ということを行っておりますし、これから説明します行政相談も実施しております。この総務庁と総務庁長官から行政相談の業務を委嘱されております全国約5000人の行政相談委員の方が国民の行政に関する苦情や意見・要望などを受け付けまして、関係行政機関にあっせん・通知し、苦情の解決を推進しており、併せてより幅広い改善ということで、個々の苦情の解決に止まらず、行政運営の改善を推進するという活動も行っております。

こういう活動を致しますために、総務庁の出先機関(管区行政監察局・行政監察事務所)あるいは行政相談委員の方のご自宅などで相談の受け付けを行っているということでございます。

 

次に、この行政相談制度の特色を幾つか申し上げたいと思います。

一つは、組織体制面での特徴でございます。これは、役所(総務庁行政監察局)と行政相談委員、さらに、制度的な問題でありますとか、より幅広い観点から検討すべき問題などについて、有識者から意見を聴取し、的確・効果的な処理を行うということで「行政苦情救済推進会議」というものを設けておりますが、この三つの組織が三位一体となって苦情の救済に取り組んでいるというのが特徴の一つでございます。

二つ目は、行政相談で扱う対象が国の行政全体をカバーするという特徴でございます。厚生省の問題、労働省の問題、建設省の問題など、国の関係の問題であれば、どこの問題であってもカバーしますし、特殊法人のやっている業務、また、地方公共団体でやっておられるものでも、国からの委託を受け、あるいは補助金を受けてやっておられる仕事であれば、行政相談として取り扱うことができる、というように、非常に幅広い分野を対象としているということでございます。

 

それから三つ目は、行政相談を担当します総務庁行政監察局の職員、あるいは行政相談委員の方々は、各省から独立した公正・中立な立場であるということでございます。先程ジャコビーさんは、オンブズマンの重要なポイントとして、プロアクティブということ、アクセシブルであるということ、それからインディペンデントであるということをおっしゃいました。つまり、積極的に自分から解決の姿勢で打って出るということ、それから国民や住民にとって近づきやすいものでなければいけないということ、そして独立的なものでなければいけないということが必要であるとおっしゃった。私ども総務庁は、政府部内の一つの組織ではありますけれども、他のいろいろな事務・事業をやっております機関とは独立しておりますし、また、行政相談委員さんは民間人であり、政府部外の人であるということで、この三つの条件を満たしているということでございます。そういうこともございまして、総務庁行政監察局は、国際オンブズマン協会の正会員として認められているわけでございます。

この組織面、扱う対象、位置付け、この三つの点で他の各省庁のさまざまな相談制度とも違いますし、また、国際的なオンブズマンとの共通点も持っていると思っております。

なお、行政相談委員さんが果たしておられる役割などにつきましては、坂本委員の方から後で詳しくご説明があろうかと思います。

 

 

 

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