そこで本日のパネルディスカッションにおきましては、このようないろいろな改革を前提にして、我が国における行政苦情救済制度を、より効果のある、市民にとって望ましいものとしていくためには、どのようにすればよいのか、ということについて考えていきたいと思います。
各パネラーの皆様方には、制度の現状や現在の制度を只今申し上げましたような時代背景の中で、今後どのように運営していくことが望ましいのか、また、この制度にどのような役割を期待するのか、というようなことについて、議論を展開していただきたいと思っております。
それでは各パネラーによる意見発表に入りたいと思います。まず、最初に、総務庁長官官房審議官の堀江さんにお願い致します。どうぞ。
総務庁の行政相談制度とその運営
堀江正弘 (総務庁長官官房審議官)
総務庁の堀江でございます。
最初でございますので、行政相談制度の概要からお話をさせていただきたいと思います。
総務庁は、かつては行政管理庁という役所でございました。この行政管理庁で行政相談を開始致しましたのは1955年、これが制度化されましたのは1960年でした。先程、ジャコビーさんから英連邦諸国で大体60年から70年代にかけてオンブズマン制度が広まったという話がございましたけれども、それより少し早いぐらいの時期に既に日本では行政相談が始まっているということを、まず冒頭で申し上げたいと思います。
そして、今日も行政相談委員の方が多数ご出席でございますけれども、この行政相談委員制度も実は1961年にスタートしており(これが法制化されましたのは1966年です。)、来年は40周年を迎えるということでございます。よく外国で日本の制度に触れられますときに、国の役所であります総務庁の行う行政相談、それから行政相談委員の方々により行われます行政相談を一体的に捉えまして、「日本的オンブズマン制度」といわれることがあります。我が国でもこういう制度が40年前から始まっているということを認識していただければ有り難いと思うわけでございます。
それではまず、行政相談制度の概要と特色ということからお話をさせていただきたいと思います。