こうしたビジネス関係には、例えば、次のようなものがある。
1) 双方の組織から同一大臣への報告
2) サービスの設計に関して合同で活動するタスクフォースの設置
3) 幹部職員の定期的な交流による経験の共有化や信頼の発展
4) 双方の組織の幹部職員のインフォーマルな接触
5) 双方の組織の適合性を分析するためのワークショップ
この戦略的協働アブローチは、イギリスやカナダやニュージーランドなど7カ国のpurchaser-provider関係の分析から導き出されたもので、とくにproviderをそれ自身の設置法によってpurchaserから分離するという、オーストラリアの手法に合わせたものと説明されている。しかし同時に、戦略的協働のアプローチは、契約文書の解釈やモニタリングに依存するよりも、はるかに困難な手法であるともいえる。そこでは、providerの悪いパフォーマンスに対して制裁を科すよりも、より高いパフォーマンスを実現するための方策をpurchaserとproviderが共同開発し、実践していくことが求められるからである。そのためには組織のライン・マネジャーと他のスタッフがマネジメントの文化を発展させていく必要があるとされている21)。
5. 人事管理
1999年5月、オーストラリア労使関係委員会によって、センターリンクの新しい労働協約である「センターリンク発展協定書1999−2000」が認可されたのを受けて、同年6月にセンターリンクは新公務員制度にもとづく職務分類に移行した。これにより最高9段階あった構造は4段階にフラット化された。センターリンクの職員の給与は業績達成とリンクしており、高い業績は高い給与と昇任につながる仕組みになっている。
また、新しい取り組みとして、「インフォリンクHR事業」という人材育成事業が進められている。これは新しい「インフォリンク財務管理システム」と連動したもので、給与と勤務状況との管理を能率化するものである。また、センターリンクはその人事管理の能率と有効性を高めるために、連邦人事委員会とメリット保護委員会が進める「オーストラリア公務員人事管理ベンチマーキング事業」に参加している22)。