日本財団 図書館


第1に、ラディカルな変革は実現可能的でない。PBOプランには、組織労働者、調整官庁、本省、議員といった抵抗が見られたことを考えると、PBO組織構造には、変化というよりは継続がより多く見られるだろう。第2に、改革効果を示すよいデータの欠如である。第3に、普遍性よりも特殊性、つまり諸国の違いがより重要である。とくにイギリスの国会と米国の議会の制度的相違は重要であった。執行エージェンシー化には、立法化が不要で内閣の裁量で可能なイギリスに対し、米国においては、PBO化にはそれぞれの組織(エージェンシー)ごとに個別立法が必要である。この点だけから見ても、米国のPBO化には、議会の同意が決定的に重要であることがわかる40)

 

4. 下院の公聴会 ―業績重視組織の監視

下院の「政府改革監視委員会」(House Committee on Government Reform and Oversight)における「政府の管理・情報・技術に関する小委員会」(Subcommittee on Government Management, Information and Technology)(委員長は、共和党カリフォルニア州選出(R-CA)のステイーブン・ホーン(Stephen Horn))は、1997年7月8日、「業績重視組織の監視」(Oversight of Performance-based Organizations)と題する公聴会を開いた。この公聴会では、数人の証言者が、PBOを支持する立場もしくは支持しない立場のいずれかから証言を行っている41)

PBOを支持する立場から証言したのは、ジョン・コスキネン(John A. Koskinen)行政管理予算局管理部次長(Deputy Director, Management, OMB)、リチャード・ビール(Richard E. Beale, Jr.)防衛購買部移行局長(Director, Transition, Defense Commissary Agency: DeCA)、デビッド・サンダース(David G. Sanders)セントローレンス航路開発公社管理次長(Deputy Administrator, St. Lawrence Seaway Development Corp.: SLSDC)である。

これに対して、PBOを支持しない立場、またはPBOに懐疑的な立場から証言したのは、クリストファー・ミーム(J. Christopher Mihm)会計検査院一般政府局連邦管理労働力問題次長(Acting Associate Director, Federal Management and Workforce Issues, General Government Division, GAO)42)、ハーバート・ジャスパー(Herbert N. Jasper)国家行政学会フェロー(Fellow, National Academy of Public Administration: NAPA)、クレイグ・ボリック(Craig M. Bolick)米国政府被用者同盟ローカル1968リーダー(President, Local No. 1968, American Federation of Government Employees)、それに情報産業協会(Information Industry Association)の代表であった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION