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(d) 給与とボーナスの監視

イギリスのNSIでは、エージェンシーのトップは、年次業績契約で規定された目標を達成する成功に基づいて年次ボーナスが支払われる。トップのボーナスは、それぞれの交渉によるが、典型的には基本給の20%までである。PBOプランにおけるボーナスはより大きい。特許・商標局法案は、基本給の100%を規定していたが、NPRは、1996年央に、この提案を緩和した。NPRは、現在、COOが基本給の50%までボーナスを受け取ることができる、ただし、給料全体の額としては、大統領の給料である20万ドルを超えない額を受け取ることができると示唆している。

このようなボーナスの仕組みは、通常は高い給料につながるため、また、ボーナスの額についての裁量が適切に行使されるかどうかについて議会が懐疑的であるため、とくに議会の注意を惹くように思える。イギリスでも、国防省(Ministry of Defense)の気象庁(Meteorological Office)のトップに対するボースが、国会で問題とされた。だが米国議会は、1978年公務員制度改革法(Civil Service Reform Act of 1978)で上級公務員(Senior Executive Service: SES)のために確立されたボーナスシステムに対して、イギリスと似ているが、より厳しい反応を示した37)。また政府幹部に支払われるボーナスをめぐっては、より最近の論争もある38)

衆人監視の下で、どのような規模のボーナスプログラムが維持されるかどうかは、今後の問題である。この問題についての何らかの基準に関する1つのオプションは、行政管理予算局(OMB)にボーナス決定を審査する権限を与える、とするものである。だがNPRは、この権限をOMBに与えるプランをもっていない。

 

(5) 政府改革の国際化

最後に、ロバーツは、最近の政府改革における諸国間の類似性を強調することに対して疑問を発している。OECDレポートは、改革提案における「きわだった収斂(convergence)」を主張したり、「新パラダイム(new Paradigm)」としての「新公共管理法(NPM)」が、「より分権化された公共部門における業績志向文化(performance-oriented culture)を形成しよう」としたりしている。だが、PBO提案を検討してみると、そうした考え方には、1]実現可能性、2]有効性、3]普遍性の3点からなる弱点がある、とロバーツは主張するのである。政府改革の類似性に対するこうした疑問は、コーポレートガバナンスの視点から英米独日のエージェンシーを比較分析したオリバー・ジェームス(Oliver James)の研究においても共有されている39)

 

 

 

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