本省もまた改革候補に柔軟性を与えることを嫌っている。1つの重要な問題は、PBOが本省からのサポートサービスを受ける義務を負うべきかどうか、また、そうしたサービスを受けるために、PBOがどんな負担を負うべきか、についての問題である。その例として、セントローレンス航路開発公社(St. Lawrence Seaway Development Corporation)と運輸省(Department of Transportation)、防衛購買部(Defense Commissary Agency: DeCA)と防衛総省(Department of Defense)の関係が紹介されている。
(4) 業績報酬
タルボットたちも示唆するように、PBOプランの第2の重要な要素は、PBOのトップがどのように雇用され報酬が支払われるかを統治するルールを変更し、これらPBOと本省との関係をも変えるという提案である(NPRの初期のプランでは、PBOのトップは、単に長官(chief executives)と呼ばれていたが、今では最高業務執行責任者(chief operating officers: COO)と呼ばれている)。
ゴアプランでは、COOは、公務内外からの候補者を含む競争を通じて雇用されるとしていた。彼らは、年次交渉による業績契約(performance agreement)で明示された業績目標を達成するのに失敗した場合を除いて解雇されないという契約に基づいて、雇用されることになっていた。COOは、それらの目標を達成して成功すると、実質的なボーナスを支払われることになっていた。ゴアは、96年3月に、「給与と職務の保障は、業績と直接結びつけられるだろう」と述べていた。
イギリスのネクスト・ステップス・エージェンシーを統治するのに使われていたのと本質的に同じであるこうした新しい仕組みは、PBOと本省に、明確な業績目標を特定し、PBOがそうした目標を達成するための強いインセンティブを創設させることを期待していた。イギリスでは、その新しいルールが望ましい効果をもったことを示唆する証拠がある。しかしながら、イギリスの国会と米国の議会との間には、憲法上の重要な違いがあるため、提案されたPBOの新ルールは、米国のコンテクストにおいてはイギリスにおけるほどうまく機能しないかもしれない。
(a) だれが業績目標を設定するのか
イギリスのNSIでは、執行エージェンシーの年次業績目標は、それぞれのエージェンシートップと、そのエージェンシーの活動について国会に最終的なアカウンタビリティを負う大臣とによって合意(契約)されている。