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イギリスでは、調整官庁、本省、議員たち(legislators)の抵抗のために、ネクスト・ステップス・エージェンシーを規制緩和する試みが緩和されてきた。規制緩和は重要な業績改善の必要条件であると考えるネクスト・ステップスの擁護者たちが正しいのであれば、イニシアティヴが生み出すと期待されていた利得を彼らによる抵抗が消してしまった、とわれわれは結論づけることができよう。PBO候補を規制緩和する努力が同様に制約されるならば、イギリスと同じことが米国においても当てはまる。初期の証拠34)は、このことが正しいことを示唆している。

PBOプランの擁護者たちは、連邦公務内の規制緩和への主要な反対が、議員たちから来るだろうと議論していた(オズボーンは、「そこにこの問題がある、つまり議会(Congress)と呼ばれる問題だ」と述べる)。PBOプランは、候補とされるエージェンシーの業績に特別の利害をもつ議会小委員会の支持があれば、エージェンシーごとに立法上の緩和を得るのは容易だろう、と確信されていた。NPRの幹部職員であるジョン・カメンスキー(John Kamensky)は、「人事と予算のシステムにおける基本的な『ゲームのルール』は変らなかった。…最初の3年間でNPRがこのルールの政府全体にわたる変更を達成できなかったことが、副大統領がPBOイニシアティヴを採用する1つの理由となった。つまり、PBOイニシアティヴは、エージェンシーごとに、人事や予算のルールを少しずつ(piecemeal)改革するためのものなのだ」と述べている。

実際、連邦航空局(Federal Aviation Administration)や特許・商標局や合衆国造幣局(US Mint)について、人事や調達のルールを定めた法律を適用除外するかどうか議会は検討している。だが、これらを仔細に検討してみると、エージェンシーごとの規制緩和に対する支持がたいへん限定されていることがわかるのである。詳細は省くが、たとえば特許・商標局の適用除外については、特許・商標局の組合が強く反対していたため、組合に対して実質的な譲歩を余儀なくされたという。

こうした困難のために、NPRは、PBOへの再編候補のために行うであろう主張を緩和させた。1996年春に、NPRとともに改革立法のガイドラインを作成していた連邦調達政策庁(Office of Federal Procurement Policy)や人事管理庁(Office of Personnel Management)は、PBOも、原則として、他の政府組織と同じ規制を受けることを示唆している。

議会だけが、PBOの規制緩和の障害になっているわけではない。調整官庁は、行政府内部における主要な抵抗の1つである。連邦調達政策庁と人事管理庁の他にも、共通役務庁(General Service Administration)、司法省(Department of Justice)、財務省(Treasury Department)がある。

 

 

 

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