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5. エージェンシーのタイプの多様性と「運営管理の自由」

ネクスト・ステップス・プログラムの結果として、創設されたNSAsには、統一的なパターンは存在しない。第一に、職員数という点でも6万6千以上の社会保障給付庁(Benefits Agency)のような巨大なエージェンシーから35名程度のウイルトン公園会議センターに至るまで多様である。第二に、これらのさまざまなエージェンシーは、機能の点からも広範なサービスをカバーしている。例えば、1995年、OPSSを改組した公共サービス庁(OPS)は、次のような四つのカテゴリーに分類している。

・自動車運転免許庁のような国民に対するサービス提供機関(54)

・統計庁のような省庁に対するサービス提供機関(49)

・科学研究所のような研究機関(8)

・車検庁のような規制機関(14)

かっこ内の数字は1996年の10月時点の機関数である。

第三に、省の大臣がエージェンシーの活動について議会に責任を負う仕方に従って分類される。1996年10月時点で、18人の大臣がエージェンシーの仕事や業績に関して議会への答弁を義務づけられている。11のエージェンシーは議会で独自の議定費(Vote)をもっている。さらに14のエージェンシーは別個の事業基金(trading fund)をもっており、省の統制からの一層の弾力性と財政上の自由を与えられている17)

イギリス中央省庁の管理者の中で最も頻繁に聞かれる不満のひとつは、用品購入、臨時職員の任用、さらに事務所の塗装でさえ、上級財政官への照会なしには、実施できないということであった。さらに基本的には、予算の単年度制、資本投資決定への統制が、能率と有効性を妨げていた18)

前述のFMIはこの状態をいくらか変えようと意図していたが、NSAsは、権限委譲とか財政上の自由とかをさらに進めようとした。しかしこの改革が管理者に一層実質的な自由を与えたかどうかはそれほど明確ではなかった。

あるマネジメント・コンサルタント(Price Waterhouse)による調査(1990年)は、主務省がそのエージェンシーを今日でも省の一部と見なす傾向があって、日常的にエージェンシーに介入しているということを見出した。この所見は、エージェンシーと各省との関係は必ずしもうまくいっていないという1991年のフレイサー報告19)によって確認された。CEsは必ずしもフリーハンドを与えられていないし、省によって課される政策変化の故に、目的達成が阻害されることがしばしば起こった。

 

 

 

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