日本財団 図書館


平成11年度人事院勧告においても「公務運営の改善に関する報告」(別紙第4)の末尾の部分で「人事院は、特定独立行政法人の職員に対し適用される人事制度に関し、例えば、特定独立行政法人の職員の採用について採用試験による採用の範囲を弾力化すること、研究系の職員等の選考による採用について弾力化すること(中略)など、弾力的措置を積極的に講ずることを検討している」12)と述べられているが、具体的にどのような弾力的措置をおこなうのか、早急に結論を出すことが求められている。

また、仮に公務員試験に合格した者が、比較的安定的な業務遂行を保障された本省勤務と、3年〜5年の業務見直しによって仕事の内容が左右される可能性のある独立行政法人勤務の何れを選択するかは、自ずと明らかであろう。したがって、事務系職員について当初から独立行政法人プロパーの職員採用をおこなうことの可能性は極めて低いと考えられる。しかしながら、こうした傾向が既成事実化されると、独立行政法人の管理運営業務を担うための「生え抜き」職員の採用や育成に道を閉ざすことになりかねない。さらには、現在外局に位置する実施庁を独立行政法人へ移行するにあたって、人事上の重大な障害をもたらすことになるのではなかろうか。

 

(2) 給与について

独立行政法人の職員の勤務条件については、給与も含め、基本的に各独立行政法人ごとに、職員と長との間で締結する労働協約などによって定めることとなり、職員団体と長との交渉による給与の決定が可能となる。そして、各独立行政法人が独自に支給基準を決定したうえで、これを主務大臣に届け出るとともに公表することを義務づけることで、この面についても透明性の確保がはかられる仕組みとなっている。但し、支給基準を定める原則について通則法の規定は、特定独立行政法人と独立行政法人で別建てになっている。すなわち、前者については「その職務の内容と責任に応ずるものであり、かつ職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない」(通則法第57条)とされ、国家公務員法第62条「職員の給与は、その官職と責任に応じてこれをなす」の規定に対応する文言が盛り込まれているのに対し、後者については単に「その職員の勤務成績が考慮されるものでなければならない」(通則法第63条)と定められている。これらの規定を見る限り、そこでは原則として、能率・勤務成績に基づく業績給の考え方を、職員給与の基準としてできる限り取り入れ、競争原理による組織運営の効率化と事務事業の水準の向上をはかることが目的とされている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION