日本財団 図書館


4. 今後の動向

99年1月の「中央省庁等改革に係る大綱」では、独立行政法人について、公務員型から非公務員型への移行を可能としている。

そもそも独立行政法人制度が、官業の縮小=民営化という流れのなかで議論されはじめ、特殊法人のデメリットをなくす意図のもとで制度化された経緯を考慮するならば、職員の身分が非公務員である独立行政法人こそが、今次行政改革の趣旨に適ったものということができるであろう。

その意味で、今回、数は少ないながら、非公務員型独立行政法人という組織形態を採った4法人を注目していかなければならない。

残念ながら、制度が正式に発足する前の段階であるため、未解決の事項も多い。例えば、すでに指摘したように、独立行政法人の運営の基本となる中期目標と中期計画の設定とその際の数値による評価をどのように定めていくのか、これらに関わることになる評価委員会の役割は所管大臣や独立行政法人の自立性や自発性の確保とどう共存できるのか、透明性の確保の観点から徹底化されるという情報公開は日本貿易保険の場合の外交上の機密とどう整合性がとられることになるのか、等々多岐にわたる。

とはいえ、非公務員型独立行政法人が、公務員制度に関して大きな影響を与えつつあることも確かである。行政改革会議を主催した橋本龍太郎が行政改革担当大臣になったこともあって、すでに、日本貿易保険が導入した成果給や経済産業研究所が導入しようとしている任期付採用や裁量労働制、年俸制は、原則として国家公務員法の適用外となる公務員型独立行政法人に実力主義人事制度を導入する契機となりつつある10)

非公務員型独立行政法人の今後の動向が注目されるゆえんである。

(岩崎恭典)

 

<注>

1) 『日本経済新聞』2000年12月30日付。

2) 『行政改革会議提出通産省資料』平成9年6月4日付、48頁。

3) 『行政改革会議提出通産省資料』平成9年6月13日付。

4) 注2に同じ。

5) 財団法人日本貿易機構『貿易保険制度』、平成11年11月。

6) 『日本経済新聞』2001年1月10日付。

7) 同上。

8) 『日本経済新聞』2000年9月18日付。

9) http://www.meti.go.jp/mitiri/index.html

10) 『日本経済新聞』2001年2月8日付。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION